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個々人の瞬間的で感覚的なものを視覚的で具体的に描く『こっそりどこかに』

学童保育所に絵本を読みに行くと必ず言われるのは

「怖い本、持ってきた?」
「怖い本、持ってきた?」
「怖い本、持ってきた?」
「怖い本、持ってきた?」

はいはいはいはい。

じゃあ、本当に怖い絵本、読もっか
わたしは怖いけどね
いいのかな。

いそいそと
「あかり消そっか」と暗くする男子。

表紙を見せると
「やばいやばい!」とどよめきが起きる。

こっそりどこかに
(軽部武宏 さく 長崎出版 2006年6月 ロクリン社にて2022年3月に復刊)





これみよがしに絵本カバーを取る。

「やばいやばい」
「怖い怖い」
「うえー」
「えぐい」

コーフンが高まります。
本体表紙とカバーの絵が違うのです。





わたしは、わざと低ーい声で、ぼそぼそと読みます。

ページをめくるたびに、子どもたちから、悲鳴のような、つぶやきのような声が漏れます。

「怖い」
「こびとづかんの顔してる」
「怖い怖い怖い怖い」
「きもい」
「きしょ」
「ええええ」
「怖い怖い」
「きっも」
「こわ」
「え。これ普通に怖い。」
「あ、さっきのだ。」
「ねーねーねー。ちょっと。ちびっちゃう。」


読んでるわたしは鳥肌立っちゃう。

ロボットの脚が片方ないのに気づいた、黄色いレインコートを着た子。
日暮れの街を、拾いに行きます。
落とした場所はわかっているようです。
どんどん日が暮れていきます。
道々、昼と夜とあわいの時間だけ見えるものたちとすれ違う。
普通のものがなんだか不気味に見えてしまう。
こういう感じ、なんとなく、覚えがあります。
不安や恐れの気持ちが生み出すものたち。
個々人の瞬間的で感覚的なものを、視覚的で具体的な絵として、この絵本に出会う大人も子どもも、それぞれが存分に味わえます。

失くしたと思ったものが、失くなってなかった。
そんなことがあるとしたら、もしかしたら、この子が元通りにしておいてくれたのかもしれません。

太陽が沈んでいる間だけ活動できるのは、『鬼滅の刃』の鬼みたいだけど、
わたしは、この子に邪悪なものを感じないんですよね。
怖いんだけど。



暗がりを怖がらなくさせるための絵本、というのがあるらしいんですけど、
わたしは、
暗がりを怖がる感覚は、持ってていい気がします。



インスタグラムで喋りました↓








【ある意味 怖い絵本】

時間の流れを自在に操るという不遜な領域に足を踏み入れている怖さ『まばたき』


『かいじゅうたちのいるところ』に行って帰ってくる物語に呼応しているもの


例のあの人が…なんの救いもない怖い絵本。幻の原画あり『きれいなはこ』


驚愕のラスト 読む場を見つけられない絵本『不幸な子供』


1ページ目からまさかの大ウケ 次第にシンと静まりかえり『ねずみじょうど』






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