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もはやファンタジーか いや、できることはあるはず『びゅんびゅんごまがまわったら』

びゅんびゅんごまがまわったら
(宮川ひろ 作 林明子 絵 童心社 1982年7月)


小学校の裏に遊び場があります。
木がたくさんあって、斜面があって、一本橋、ターザンロープ、ロープのブランコ、池、岩の窪みなんかがあります。

1年生のこうすけが、その遊び場で骨を折ってから、鍵がかけられてしまいました。

こうすけは責任を感じているし、上級生からは責められるし、かばわれるし。

4月に新しい校長先生がやってきます。

校長先生に鍵を開けてくれるよう頼むと、校長先生は、びゅんびゅんごまを回せるようになったら、と机の引き出しから取り出して、子どもたちに分けてくれます。(何かのときのためにたくさん用意してあるってことよね)

びゅんびゅんごまを回せるようになっても、校長先生は難易度をあげていきます。
手と足を使って2つ、3つ、4つと回していきます。

子どもたちは何日もかけて挑戦するのですが、だんだんと校長先生への挑戦を違う方法に切り替える子もいます。

青い柿の実のネックスレスやタンポポびなを作って、校長先生の机の上にこっそり置いたり。
竹馬の名人になると言って、ノコギリとトンカチで竹馬を作るところからやったり。

遊び場に鍵がかけられても、彼らにはお寺の境内が遊び場となって、異年齢の子どもたちが協力し、創意工夫しながら、できないことに挑戦していきます。

それはなんと生き生きと楽しげでしょう。

この絵本の中の子どもたちの会話は、リアリティがあります。
「そんなこと いっても、しょうがないでしょう。」
(あー。こういう女子、いるよな〜)

宮川ひろさんの日本語が、声に出して読むとわかるのですが、地の文も、会話も読みにくいところが全くなく、生きている感じがします。

林明子さんが描く小学生たちも、良いんです。
言葉ではなく、絵で描かれる物語。
校長先生の机の上には、いつも季節の花が飾られています。
5年生のたかひろくんは、いつも髪の毛がはねてます。
冬、春、夏、と季節の変化も感じられます。

校長先生が「大人げない」のがいい。
子どもに対して、本気。
4つのびゅんびゅんごまを回すときなんか、靴下まで脱いじゃってます。
だからこそ、子どもたちも本気で挑戦する。大人を大人として認めてくれる。
「大人げない」上等じゃないか。

「昭和の子ども」だったわたしが読むと、すごくリアリティを感じるけれど、今の子たちが、この絵本に出会ったら、もはや「ファンタジー」と映るかもしれません。

彼らは、こんな放課後を過ごしているだろうか?
校長先生とこんな関係を築いているだろうか?

放課後、グラウンドで遊んではいけません、ランドセルのまま寄り道してはいけない、真っ直ぐ家に帰りなさい、と指導されていると聞きます。それはもう、しょうがないのかもしれません。

それに、校長先生はこんなに暇そうじゃないかもしれません。

今の時代、できないことはあるかもしれないけれど、できることもあるのかなと思いたいです。

「校長先生!」「校長先生!」と子どもたちが入りやすい校長室にする、とかはできそうな気がします。

わたしは我が子たちと、この絵本を繰り返し読みました。
娘も、びゅんびゅんごまを3つ回すまではできるようになってました。4つは難しかったようです。でも、挑戦してました。

我が子とは読みましたが、読み聞かせボランティアとしては、読んだことがないように思います。
小学校が舞台ですけれど、集団生活を経験してるなら4歳くらいから、読めるんじゃないかと思います。
小学生にもぜひ、出会ってほしい1冊です。
小学生になっても、お家での読み聞かせを続けてほしいです。


奥付に、
「取材協力 群馬県高崎市立滝川小学校池田学級
東京都武蔵野市立千川小学校井出村学級」
とあります。
実際にこんな小学校があったのかなあ。

童心社会長の酒井京子さんのお話を聞く機会がありましたので、(もしかしたら)とこの絵本を持参して
「わたし、この絵本、大好きなんです」とお伝えしましたら、
「この絵本、わたしが編集したのよ。いい絵本よね」と。
「やっぱり! すごくいい絵本です!」

びゅんびゅんごまがまわったら
(宮川ひろ 作 林明子 絵 童心社 1982年7月)


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