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無音でねずみ登場の場面が秀逸『ちいさなたまねぎさん』

毎月1回、絵本を持って保育園にお邪魔しています。
3歳、4歳、5歳の幼児組の皆さんに聞いてみました。

「皆さんは、嫌いな野菜はありますか?」
「ニンジン!」
「ピーマン!」
「ないー!」
などなどの声が上がりました。

「あのね、上甲はね、玉ねぎが嫌いなの。
大人になったら、ちょっとは食べられるようになったけど、子どもの頃は大嫌いだったの」

「じゃ、この絵本を読むね」

ちいさなたまねぎさん
(せなけいこ 作絵 金の星社 1977年3月 こどものくに傑作絵本)


表紙を見せると
「あー! にんじんだ!」
「キャベツだ!」
「玉ねぎ!」
「ジャガイモが泣いてる〜」

いきなり、この場面から始まります。

(以下引用)
だいどころで
じゃがいもさんが
ないています。
「あーん いたいよー
ねずみに
かじられちゃったよー
あーん あーん」

(引用ここまで)

にんじんさんが真っ赤になって怒り、たまねぎさんが慰めます。

やっぱり、この3人はセットで登場するのね。

舞台は台所なので、お玉、フライ返し、フライパン、ヤカン、お皿なども登場します。
みんな、じゃがいもさんの味方です。

真っ暗の中、無音でネズミが登場します。

聞いている子どもたちは、ハッとした表情をして、顔を見合わせたり、「ネズミだ!」と指さしたりしました。

ここは、我が家でも、息をひそめ、無言で顔を見合わせた場面です。幼い我が子がどんなにハラハラしているか、手にとるようにわかりました。

台所のみんなで協力して、悪いネズミをやっつけようとしますが、うまくいきません。
お皿たちがこう言います。

(以下引用)
「わるい
ねずみ!」
「あっちへ いけ!」
がちゃがちゃ
がちゃがちゃ
(引用ここまで)

ここを読んだら、保育園のある女の子が
「あっちへいけ なんて言っちゃいけないんだよ」と言いました。

そうよね、きっと、そう教わっているのよね。

でもここでは、書いてあるので、そのように読みます。

このあと、玉ねぎさんの大活躍で、ネズミをやっつけることができて、このお話は終わります。

裏表紙には泣きながら歩いているネズミが描かれています。

長女が3歳くらいだったか、このネズミを
優しく撫でていたことがありました。
わたしは、ハッとしました。
きっと彼女の中に、「かわいそう」に近い気持ちが生まれたんだろうなと。

この絵本の中では、ネズミは悪者として描かれていますが、でももしかしたら、裏表紙に泣いているネズミを描いたせなけいこさんには、それだけじゃない、そんな単純ではない気持ちがあったのかもしれないなあと思いました。

わたしは、自分が子どもの頃に、この絵本に出会っている記憶がうっすらあります。

ネズミが出てくる台所は、イマドキあんまりないかもしれないけれど、そして、台所はキッチンとして進化しているかもしれないけれど、でもこの絵本は普遍性があります。
今を生きる子どもたちの心をグッとつかむ要素が満載の絵本だと読んでみてわかりました。

ちいさなたまねぎさん
(せなけいこ 作絵 金の星社 1977年3月 こどものくに傑作絵本)

#主観と本音で絵本を喋る
#読んでみたいと思ってもらいたい
#ほぼ毎日絵本紹介ライブ
#上甲の絵本紹介ライブ

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