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枠があっても想像力で飛び越える『ねずみくんのチョッキ』

ねずみくんのチョッキ
(なかえよしを 上野紀子 ポプラ社 1974年8月)

わたしの住んでいる南足柄市では、3歳6か月児健診のときに、「ブックスタート」の次の「セカンドブック」として、絵本を1冊プレゼントしています。

絵本は5冊から選ぶことができます。

その中の1冊が『ねずみくんのチョッキ』です。

わたしは、セカンドブック事業のお手伝いとして、読み聞かせをしています。
健診が終わった親子さんが、最後にやってくるのがセカンドブックの会場です。
マットの上で、ボランティア数人が個別に絵本を読みます。

担当の生涯学習課さんが大型絵本を用意してくれています。
わたしは、毎回、自分の通常サイズの『ねずみくんのチョッキ』を持参します。
今回は、小さいサイズの『ねずみくんのチョッキ』をボランティアさんが持ってきてくれました。


この3冊、驚いたことに、全部違うんです。
お話は同じなのですが、わたしの持っている通常サイズの『ねずみくんのチョッキ』は縦書きです。
でも、大型絵本とミニサイズの『ねずみくんのチョッキ』は、横書きなのです。
だから、開く向きが違うんです。

さらに、大型絵本にだけ、覗き込んでいる動物が描かれているのです。

びっくり。

ただサイズを変えただけじゃない。

そんな楽なことは、されないのですねえ。
その大きさにあった絵にされたのかなあと思いました。



銀座松屋で開催されていた「ねずみくんのチョッキ展」に滑り込みで行ってきました。

ねずみくんシリーズの原画は、ほぼ原寸大で描かれています。
身長は「2.6cm」です。


作者のなかえよしをさんと上野紀子さんはご夫婦です。

上野紀子さんは2019年にお亡くなりになられました。

お二人は、1973年にアメリカで絵本を出版されました。
『ELEPHANT BUTTONS』(ハーバー・アンド・ロー)という絵本です。(なかなかにシュールな作品だと思います)
この次の作品を依頼されて、「Mouse’s Vest」という原稿を送ったけれど、不評で送り返されたそうです。
それを描き直して、アメリカに送ろうとしてたところ、偶然、ポプラ社の編集者がなかえさん家に来て、そこにあった原稿を見て「出しましょう」ということになったそうです。

絵本が日の目を見るには、いろんな偶然が奇跡のように重なることがあるのよねえ。

もしも、そのとき、その場にポプラ社の人が来なければ、もしも、すでにアメリカに送られてしまっていたら、日本で日の目を見ることはなかったのかもしれないですものね。
今では、ねずみくんは41作品のロングシリーズとなっています。
(わたしは1冊しか持っていませんが)

幻の「Mouse’s Vest」の原画がありました。
ベストはもっと大きくてゆったりとしてて、馬は平然とした表情で着ています。
絵本では、もっと、きつそうに着てますよね。


「位置指定紙」の展示もありました。
絵本のページ中央にねずみくんが来るように使用していた手製の枠で、ねずみくんの立ち位置は、枠から1cm上と決まっていたそうです。


上野紀子さんの机も展示されていました。


以下は、机の横にあった中江嘉男さんの言葉です。

(以下引用)
上野が絵や文字を描くときは、必ず姿勢を正して座り、音楽もダメ、話しかけても「黙って」と言われ、静かな環境で描いていました。
特にねずみくんは、大きな虫メガネをのぞきながら、鉛筆は6Bから9HとEHという濃い鉛筆まで脇にそろえていました。ぼくは「そんなにたくさん鉛筆使うの?」と思って横目で見ていましたが、今、原画をよく見ると、全ての鉛筆を使って小さなねずみくんを描いていたのだとわかります。10色以上の黒色の鉛筆の濃淡で、細かく描かれていたからこそ、柔らかく心地よい感じのねずみくんになっていたのでした。
(引用ここまで)

2.6cmのねずみくんを、鉛筆の濃さを使い分けて描いていたんですね。


ねずみくんのアイディアは、フォルクスワーゲンの広告「Think small.」の
白い背景の取り方や、主役である車の配置、短い文章などから得たそうです。


アイディアって、こういうところから見つけることができるのですね。
それを形にして、表現していくのは、クリエイティブなお仕事だなと思います。

会場には、なかえよしをさんの動画がありました。

うろ覚えですが、

・枠があっても想像力で飛び越える
・ねずみくんには旅をさせない。
・派手に大きな声を出さなくても楽しいことは見つけられる。

というようなことをお話しされていました。

あの枠が良いですよね。
枠があるから、自由になる部分がある。
それに「旅をさせない」で、41作品もお話を考え続けるのはすごい。
身近なところから、お話を作れる。
しかもオチがある。
大変なことだと思います。

セカンドブックの会場で、3歳6か月の彼らに読みました。

「すこし きついが にあうかな」
のところで、
彼らは、笑いながら
「にあわないよ」と言います。
それが繰り返されます。

似合わないですよ、だってそれは「ねずみくんのチョッキ」だもの。

ねずみくんのチョッキ
(なかえよしを 上野紀子 ポプラ社 1974年8月)

インスタグラムでも『ねずみくんのチョッキ』ご紹介しています


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