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弟が生まれて、得意げな、自慢げな、自分よりも弱いものを大切に思う気持ち、 周りの人を巻き込んで共有していく『もりのおるすばん』

もりのおるすばん
(丸山陽子 童心社 2012年7月)



この絵本は、うちの3番目の子どもが4歳のとき、自分で選んで買った絵本。
2012年8月に購入しているので、書店で表紙を見せて置いていたのかな。

わたしもこの絵本、すごくいいなあと思って買いました。

表紙のこの女の子に、弟が生まれたのです。
それは、ラストにわかります。(ネタバレしちゃってすみません)

森の中に建っている女の子の家の周りを、音を立てる動物が近寄ると、女の子は静かにするように要請します。
そしてなぜか、家の中に招き入れるようです。

静かにするように要請する味方をどんどん増やしているようです。

だから、次に音を立てる動物が近寄ると、女の子とともに、静かにするように要請します。

引きの構図から、グッとクローズアップする、視点が上に下に動かされる感じとか、ページをめくらせようとする言葉の並びとか、すごくいいなあと思います。

高原の涼しげな風を感じられるような絵も好きです。

弟が生まれて、得意げな、自慢げな、自分よりも弱いものを大切に思う気持ち、
それを自分の周りの人を巻き込んで共有していく感じ、すごくいいなあと思いました。

この絵本を選んだ娘は、自分自身が、この絵本でいうところの、弟の存在でした。

年の離れた兄と姉に大切にされて、守られて、可愛がられていることを、自覚していたのかどうか、わかりません。

彼女がどんな気持ちでこの絵本を選んだのか、この絵本をどう感じていたのかは、わかりません。

下に妹や弟が生まれて、お兄ちゃん、お姉ちゃんになってしまった(ならざるを得なかった)人たちにも、共感を得られる絵本かもしれません。

わたしはあまり、この絵本を読み聞かせ会などで選ぶことをしないでいたので、ご紹介するチャンスが今までなかった気がします。

先日、図書館に行ったら、新着絵本コーナーに表紙を見せて置いてあった絵本。

いつもとちがう水よう日
(丸山陽子 小学館 2024年6月)

作者名を見たときに、(あ。あの絵本の作者さんだ)と気づきました。

わたしは、『もりのおるすばん』以降、この作者さんの絵本に出逢いそびれていました。
実に、12年ぶりの再会でした。

『いつもとちがう水よう日』の奥付にある作者紹介にはこうあります。

(以下引用)
1971年生まれ。
教科書会社勤務後、セツ・モードセミナーに通い、第3回昭和シェル現代美術賞(現 Idemitsu Art Award)にポンピドウー・センター学芸員・岡部あおみ氏の選で入選する。
30代で絵本に転向し、デビュー作「もりのおるすばん」(童心社)がボローニャチルドレンズ ブックフェアに出展され、好評を得て、イタリア・中国でも刊行された。
2014年ボローニャチルドレンズブックフェアにて開催された『スポットライト オンリーディング展」に入選。
後にオーストリアの名編集者ミヒャエル・ノイゲバウアー氏に認められ、2017年『LITTLE SANTA』(2017年minedition社)はアメリカ・カナダ・フランス・ドイツ・ウクライナ・韓国・イギリスで出版され、「The Forgotten Crayon』(2020年minedition 社)はフランス・ドイツ・イギリス・アメリカ・カナダで出版された。
海外で刊行された2冊の絵本は日本語版タイトル「リトルサンタ」「しあわせなクレヨン」としてBL出版より刊行され、「しあわせなクレヨン」は全国学校図書館協議会「えほん50」に選ばれた。
(引用ここまで)

日本よりも先に海外で評価されていらっしゃるんですね。
『もりのおるすばん』は海外でも出版されているのに、購入しにくい絵本になっちゃうんですねえ。

童心社のホームページでは、在庫品切・重版未定とあります。

(HPより以下引用)
何年もの間、国内で取材を重ねて描かれた動物たち。クマ、シカ、キツネなどの動物たちはもちろんのこと、木の葉の一枚までもよく観察して描かれています。そこからは小さな生命、自然への深い愛情が感じられ、現代生活の中で私たちが忘れがちな、ゆったりとした時間が流れます。みずみずしいデビュー作。
(引用ここまで)

インスタグラムでも『もりのおるすばん』ご紹介しています


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