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発想が秀逸 「声」の主を探す面白さ 『こんなこえがきこえてきました』ハードカバー化希望

『こんなこえがきこえてきました』
(佐藤雅彦+ユーフラテス アートディレクション 山本晃士ロバート 福音館書店 2015年6月)


この絵本を、本屋さんで見つけて、即買いました。
なんて面白い。
初めて見る絵本。

使われているのは、1枚の写真。

ある交差点を俯瞰した写真。

たくさんの人が交差点にいる。

その一人一人に、人生がある。
その一人一人に、生きている物語がある。
その一人一人に、現在進行形の「声」がある。

俯瞰していると、それが、今、生きているわたしたちの社会なのだ。

絵本の主人公は、いない。

いや、この絵本の主人公は、何かすごく抽象的な「概念」なのかもしれない。

その概念が何かわからないけれど。

子どもにとっては、この絵本は、「ウォーリー的絵本」
「声」の主を探す面白さ。

「いた!」
「ここ!」
「どこだ?」
親子でワイワイと楽しい絵本。

少人数の読み聞かせ会でも、いけると思います。
教室での読み聞かせなどでは、見えづらいから工夫が必要かもしれません。
ギュッと前の方に寄ってもらうとか。

夏休みの学童保育所で読みましたら、前の子はわかるけど、後ろの方に座ってる子は、見えないから体が自然に前の方に近寄ってきちゃう。立ち上がっちゃう。
なので、絵本を前の方に突き出して見せてあげる感じで読みました。
気をつけないと、盛り上がり過ぎちゃう。
前の方と後ろの方で温度差が生まれちゃう。注意が必要。

一瞬、視線が違う方向を向くのが粋だなあ。

あと、オチがいい。
裏表紙で、「あー!」と声が上がる。

しかし、この絵本はいったいどうやって作ったんだろう?
この1枚の写真をどうやって撮影したんだろう?
偶然撮影した写真?
それにしては、出来過ぎ?
もしかして、作り込んだの?
そうだとしたら、かなり大掛かり。
そこのところを知りたいな〜と思っています。

探していたら、こんな文章に出会いました



(以下引用)
この本では、どの頁でも、どこからかいろんな人の妙な会話が聞こえてきます。

さて、その声の主は誰なのでしょうか?
何について話しているのでしょうか?
知りたくてしょうがなくなります。

そもそも、「かがくのとも」は、
こども達の科学の芽を伸ばすことを目的とした、探究心を刺激し、育む絵本です。
今号の「こんな こえが きこえてきました」は写真絵本です。
30頁の写真絵本ですが、なんと、一枚の写真で作られています。
その一枚の写真とは、ある大きな交差点を渡る数え切れないほど多くの人々の写真なのです。
その交差点からちょっと変わった会話が聞こえてきます。

さて、その声の主は、どこにいるのでしょうか?
探したくてしょうがなくなります。

この絵本は、レイヤー(=層)という考え方を元に作りました。
私の手帳によると、その大がかりな撮影をしたのは、もう2年も前の2013年のことです。
企画を練っていたのは、さらにそれより2年前の2011年のことです。
なんと足かけ4年をかけて完成しました。


東京藝術大学 映像研究科 教授 佐藤雅彦
(引用ここまで)




なんと!
大がかりな撮影、ということは、これは全部、モデルさんで、この絵本用に演じている訳か。

レイヤー。
主人公は「レイヤー」か。

この発想が、秀逸。スンバラシイ。
この絵本、ハードカバーになってないみたいなんですよね。
買えるようになるといいのに。


Amazonで驚きのレビューを見つけました。

(以下引用)
子供用に定期購読をしています。いつも楽しみにしている子供が、あまりにつまらないというので、読んでみると驚きました。同じ写真を14回の使い回しです。
がっかりしました。こんなのどうみても、ボツだと思います。出版社に対する信用まで失いました。
定期購読はもうやめます。いままで、ありがとうございました。
(引用ここまで)


・・・
驚きました。
いろんな感じ方があるのですね。

『こんなこえがきこえてきました』
(佐藤雅彦+ユーフラテス アートディレクション 山本晃士ロバート 福音館書店 2015年6月)

インスタグラムでも『こんなこえがきこえてきました』ご紹介しています


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