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言葉が絵本になりたがっている?! 子どもの無意識に働きかける絵本『あーあった』驚きの読み聞かせ体験
『あーあった』
(伊藤比呂美 作 牧野良幸 絵 福音館書店 こどものとも年少版 1998年11月号)
この絵本は、澤田精一さんが編集した絵本です。
澤田精一さんは、あの『ジャリおじさん』(大竹伸朗 福音館書店)を編集した福音館書店の元編集者です。
『ひそませること/あばきたてること 絵本編集の現場から』
(澤田精一 現代企画室 2014年6月)
この本を読んでどうしても欲しくなって探して手に入れたのでした。
この本の中で伊藤比呂美さんがこう書いています。
あの伊藤比呂美さんの詩を突き返す澤田さん。
伊藤比呂美さんの詩を突き返すことのできる人がいるんだあ、という驚き。
なんか壮絶なやり取りだなあ。
本気のプロの大人のやり取りを想像。
ゾクッとします。
澤田さんの言葉。
「言葉を読めば言葉が絵本になりたがっているのはよくわかった。」
この部分にわたしは線を引っ張りました。
クー。なんてかっこいい。
言葉が絵本になりたがっている。
それがよくわかる、と。
だからわたしはどうしてもこの「あーあった」という絵本を
自分のものにしたくなったし、どうしても手に入れたくなったし、誰かに読んでみたくなりました。
で。
探して探して
手に入れて(絶版です)読んだわけです。
まずは自分が。
自分一人で。
・・・
なんだこれは。
なんだこれは。
予想を上回るわからなさ具合だ。
どうなんだ。
どうなんだ。
これを読むとどうなんだ?
はっきり言って、覚悟を決めて読む。
そんな感じでした。
0歳から5歳までの保育園児の皆さんに。
すると、どうなったか。
「あーあった」を読み始めると、3〜5歳児が、わたしの読んだあとを自然に、復唱し始めました。
「ないないないない」
「ないないないない」
「でるでるでるでる」
「でるでるでるでる」
「でたー」
「でたー」
というように。
0〜2歳はキョトンとしてました。
わたしも内心
(わー! わー! そうくるかー!)と
子どもたちの思いがけないアクションに血流が早くなるように感じました。
嬉しくなって澤田さんに
「保育園で読んだらこんなでしたよ〜」とメッセージしました。
そしたらお返事をいただきました。
承諾いただきましたのでこちらでご紹介します。
クレーム・・・
クレーム対応準備済み、だったわけですね。
でもクレームは来なかった。
「あーあった」は子どもの無意識に働きかける絵本
わたしが読んだときは
反射的に?
無意識に
絵本の言葉を復唱してしまった園児続出。
子どもの無意識にどんな働きかけをするのかあちこちで読んでみたいです。
ハードカバー化して欲しいです。
絵を描いた牧野良幸さんのホームページによりますと、2009年に韓国版が韓国で出版されたそうです。
このご本に関連した過去ブログ
結果的につまんなきゃしょうがないでしょう
2021年11月 絵本「ジャリおじさん」編集者 澤田精一さん講演会開催しました。
『あーあった』
(伊藤比呂美 作 牧野良幸 絵 福音館書店 こどものとも年少版 1998年11月号)
インスタグラムでも『あーあった』』ご紹介しています
(伊藤比呂美 作 牧野良幸 絵 福音館書店 こどものとも年少版 1998年11月号)
この絵本は、澤田精一さんが編集した絵本です。
澤田精一さんは、あの『ジャリおじさん』(大竹伸朗 福音館書店)を編集した福音館書店の元編集者です。
『ひそませること/あばきたてること 絵本編集の現場から』
(澤田精一 現代企画室 2014年6月)
この本を読んでどうしても欲しくなって探して手に入れたのでした。
この本の中で伊藤比呂美さんがこう書いています。
(以下引用)
「逸脱だ、澤田さん」
しかしこのたびは、澤田さんが、ことばのいちいちに細かい批評を突きつけてきたのであります。
これで子どもにわかるか、伝わるか。
この表現は一人よがりではないかと何度も言われました。
言われるままに考え直してみると、隙だらけでした。
今まで何を考えて、こんな隙だらけのことばを書き散らしていたのか。
慢心していたのか。
私は深く反省しました。
(中略)
何回かテキストをおずおずと澤田さんに差し出し、却下されました。
(中略)
私は、はじめてのことば、発語ということを考えつめておりました。
たまたま1歳数か月の娘が発語しました。
冬でした。
石油ストーブが自動でぼっと点火しました。
「ついた」と。
それからしばらくしたら「あった」と。
おしっこをおまるにしたときには「でた」と。
そして「あーあった」のテキストができました。
テキストを差し出して、澤田さんが却下しなかったときは驚きました。
(引用ここまで)
あの伊藤比呂美さんの詩を突き返す澤田さん。
伊藤比呂美さんの詩を突き返すことのできる人がいるんだあ、という驚き。
なんか壮絶なやり取りだなあ。
本気のプロの大人のやり取りを想像。
ゾクッとします。
澤田さんの言葉。
(以下引用)
「きゅうりさんあぶないよ」の出版のあと、
詩人の伊藤比呂美さんから絵本のテキストを受け取った。
それは、「ないない」「あーあった」という、単純な語句が並ぶもので、
言葉を読めば言葉が絵本になりたがっているのはよくわかった。
(引用ここまで)
「言葉を読めば言葉が絵本になりたがっているのはよくわかった。」
この部分にわたしは線を引っ張りました。
クー。なんてかっこいい。
言葉が絵本になりたがっている。
それがよくわかる、と。
だからわたしはどうしてもこの「あーあった」という絵本を
自分のものにしたくなったし、どうしても手に入れたくなったし、誰かに読んでみたくなりました。
で。
探して探して
手に入れて(絶版です)読んだわけです。
まずは自分が。
自分一人で。
・・・
なんだこれは。
なんだこれは。
予想を上回るわからなさ具合だ。
どうなんだ。
どうなんだ。
これを読むとどうなんだ?
はっきり言って、覚悟を決めて読む。
そんな感じでした。
0歳から5歳までの保育園児の皆さんに。
すると、どうなったか。
「あーあった」を読み始めると、3〜5歳児が、わたしの読んだあとを自然に、復唱し始めました。
「ないないないない」
「ないないないない」
「でるでるでるでる」
「でるでるでるでる」
「でたー」
「でたー」
というように。
0〜2歳はキョトンとしてました。
わたしも内心
(わー! わー! そうくるかー!)と
子どもたちの思いがけないアクションに血流が早くなるように感じました。
嬉しくなって澤田さんに
「保育園で読んだらこんなでしたよ〜」とメッセージしました。
そしたらお返事をいただきました。
承諾いただきましたのでこちらでご紹介します。
(以下引用)
『あーあった』を出すとき、営業にこのような作品ですという、
社内で説明する会議というか、そういうことをするんです。
著者、内容の紹介から、見どころ、読ませどころをいいます。
向こうからすれば、これは福音館書店の絵本だと理解できれば、いいですねとなりますが、
ちょっと外れていると、クレームがくることが予想できると、
そのことについて準備をしておけなんていわれます。
『あーあった』は、そういう絵本でしたから、無論、その準備はしていました。
事前に知人に頼んで、幼稚園での読み聞かせをしてもらい、
その反応などの報告をもらいました。
また、どのような経緯でこの絵本ができたのかも、私の文で説明しました。
そういう準備をしていたんですが、なぜかクレームはこなかったんですね。
ただ、あるお母さんから、うちの子(男子)は絵本が嫌いらしく、読み聞かせになると
一番後のほうで、ずっと走り回っているというのです。
たぶん、走り回りながら、聞いていたと思うのですが、
それで、絵本は嫌いなのだと思っていた。
たぶん、園の先生もそう思っていたでしょう。
ところが、『あーあった』を読み始めたら、
その子は一番前にやってきて、じっと聞き入ったというのです。
で、この子に与えられる絵本があるんだということで、
「こどものとも年少版」1年間、予約したと報告してくれました。
『あーあった』は、私からすれば、ちょっと特殊な絵本で、
1年間このような絵本が続くわけではないんですが、
うれしかったです。
絵本に読み慣れている子どもより、そうでない子のほうに反応がありました。
絵本というのは、子どもの意識界へ働きかけるだけでなく、
無意識の世界へも働きかけるものだと思います。
喜んだから、この絵本は子どもに受けた。
無反応だったら、子どもに受けなかったと、大人は判断しますが、
子どもの受け取り方は、そのような単純なものではないです。
単純な絵本に見えて、裏では相当に複雑な思考をめぐらせている。
そういうことを考えながら、やってきました。
(引用ここまで)
クレーム・・・
クレーム対応準備済み、だったわけですね。
でもクレームは来なかった。
「あーあった」は子どもの無意識に働きかける絵本
わたしが読んだときは
反射的に?
無意識に
絵本の言葉を復唱してしまった園児続出。
子どもの無意識にどんな働きかけをするのかあちこちで読んでみたいです。
ハードカバー化して欲しいです。
絵を描いた牧野良幸さんのホームページによりますと、2009年に韓国版が韓国で出版されたそうです。
このご本に関連した過去ブログ
結果的につまんなきゃしょうがないでしょう
2021年11月 絵本「ジャリおじさん」編集者 澤田精一さん講演会開催しました。
『あーあった』
(伊藤比呂美 作 牧野良幸 絵 福音館書店 こどものとも年少版 1998年11月号)
インスタグラムでも『あーあった』』ご紹介しています