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よくぞ、これを絵本で描いたなあ 『おんぶはこりごり』

おんぶはこりごり
(アンソニー・ブラウン 作 藤本朝巳 訳 平凡社 2005年3月)
(原書『PIGGYBOOK』1986年)


初めて読んだとき、そして今も、ギュギュギュッと胸が締めつけられるような気持ちになる絵本です。
なぜか?
ここに「わたし」がいるから。
そして「うらやましい」から。

新聞を食卓で広げてるパパが
「ママ、あさごはんは、まだかい」
子どもたちも
「ママ、あさごはん、まだー」

自分のことだけして大事な仕事や学校へ、出かけていくパパと子どもたち。

ママはそのあと、朝ごはんの片づけをしてベッドを直して掃除機をかけてそれから仕事に出かけます。


帰って来てからも「ママ、ゆうごはん、まだー」と口々に言われ、みんなが夕ご飯を済ませるとママはひとりでお皿を洗い、洗濯をしてアイロンをかけて朝ごはんの用意までするんです。

そのあいだ、パパと子どもたちはゆったりとテレビを見ている・・・・

そしてある日ママは置き手紙をして家を出ていってしまいます。

「ぶたさんたちのおせわは
もう こりごり!」って。

でねパパと子どもたちは自分たちでやってみたけどぜんぜん、うまくいきません。
どんどん、家の中が荒んでいって、豚小屋のようになっていきます。

どうしようもなくなったときにママが帰ってくるんです。

3人は、「おかえりなさいませ、おかあさま」ってひざまずいて涙ながら出迎えます。

これをきっかけとして、彼らはママ任せにしなくなります。

お皿を洗ったり、ベッドを整えたり、お料理したりします。
それまで、ママはずっと うつむいていて表情が見えなかったのに
やっとそこで
「ママはしあわせでした。」
ってこちらを見るんです。

今から40年くらい前にイギリスで生まれた絵本。
日本では、今から20年くらい前。

今現在。

イマドキ、こんなパパはいないのかもしれないけど、どうですか?
身近にいませんか?
変わらないんですか?

毎日、毎日、生活していくこと
暮らしていくこと
これは「自分のこと」なんですよね。
誰かひとりの肩にのしかかって平然とされちゃ 腹が立ちます わたしはね。

だからママが家を出ていくことによって
いかに 今まで ママのやっていたことが大変なことか
いかに ママのやってくれてたことが自分たちの生活に必要なことだったのか
そのことに気づき
「ママが帰って来たからいいや」
ではなく
「自分のこと」として楽しんでやるようになる
「ママはしあわせでした。」ってね

そこが「うらやましい」とギュギュギュッとなってしまいます。

気づいて行動を変えることができるのは、すばらしいこと。

現実は、そんな簡単に人は変わらない、とわたしは知っています。

やる人が帰ってきたら、やる人にやらせて、やらなくなる。
それが現実じゃないですか?
一度、家出したくらいで、変わりますか?
夢のようなファンタジーだな。
この絵本のママは幸せだな。

言わなくちゃわからない人に、そして、言っても伝わらない人に、言うのがもうすでに面倒くさいんですよ。

自分以外の人の意識と考え方を変えることは不可能。
変えることができるのは、自分だけ。

だから、「これをすると自分が気持ちいいからやる」
「これを食べたいから作る」
そんなふうに自分の気持ちを作ってます。
そして、目に見えない家事、カウントされないことになっている家事、やらなかったらこの状態が保てない小さな家事は数え上げたらキリがないほどありますよね。
分かりやすい、わたしじゃなくてもいい家事は手放す。

わたしはそうしてます。

よくぞ、これを絵本で描いたなあ。
絵にはたくさんの仕掛けが施されています。
子どもには読んだことないです。
大人の人と読むと盛り上がります。


おんぶはこりごり
(アンソニー・ブラウン 作 藤本朝巳 訳 平凡社 2005年3月)
(原書『PIGGYBOOK』1986年)



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