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わざと大人のいやらしいシタゴコロスケスケで読む『にんじん』

にんじん
(せなけいこ作絵 福音館書店 1969年11月)




・絵本を読んだら子どもにこんな効果があるから良い
・子どもにこうなって欲しいから絵本を読む
・語彙の豊富な子になってほしい
・IQが高くなるように絵本を読む

そういう期待(下心)は抜きに、ただただ絵本を親子で楽しんでほしい、面白がってほしいと、わたしは常々思っているし、絵本講座で話したりもしています。

例えば、
「歯磨きをするようになる絵本」とか「友だちに優しくできるようになる絵本」とか「暗闇を怖がらなくなるような絵本」とか「嫌いな虫を好きになれるようになる絵本」とか、子どもを絵本でどうにかしてやろうという大人のあざとさの見え隠れする絵本は、いまいち好きになれません。
きっかけになるということは、当然あるでしょう。
わたし自身も、絵本によって、自分の考え方が変化したことは何度もあります。
でも、読む側がそれを期待するのは、あざとい。
効果があればやるけど、効果がなければやらない?
タイパ(タイムパフォーマンス)と絵本は切り離して考えたい。
時代に逆行しようとも。

そもそも、子どもは、そんな簡単に大人の思うとおりになんかならないですよね。

絵本読んだくらいで暗闇を怖がらなくなるようになるなんて嘘くさい。

基本的には、そう思っているんです。


ところが!

なんと!

まさかの!

せなけいこが!(←呼び捨てすみません)

あのせなけいこが!(←呼び捨てすみません)

子どもを子ども扱いせず
容赦なく恐怖に陥れる(?)
あの!せなけいこが!(←呼び捨てすみません)


めちゃくちゃあざとい絵本を作っていた!

息子の好きだったウサギを登場させ
(息子の好きだったブルーナのうさこちゃんの絵本の続きを作ろうと)
息子ににんじんを食べてほしい、と
しかも、自分はにんじん 嫌いなのにも関わらず、ですよ。(←ここポイント)




(以下引用)
にんじん いちばん すきなこ だあれ
ぼくよ ぼくよ ぼくよ
ぼくたち にんじん だいすきよ
にんじん すきな うさぎさん みたいな
げんきなこ だあれ
(引用ここまで)





えええ?!

絵本でにんじんを食べさせようとしてる!
あざとい!
めちゃくちゃあざとい!
しかも、自分は嫌いなのに!(笑)


なんか
あざと過ぎて笑っちゃいました。

むしろ清々する(笑)

息子が好きなウサギを登場させて
(ブルーナのうさこちゃんとはちょいと違うけど口元がオマージュか)
にんじん 好きだと言わせようとしてる(笑)

それでいいんかい!

せなけいこさんにツッコミを入れながら(笑)思わず、買いました(持ってなかった)、せなけいこ展にて。

これで、子どもがにんじん食べられるようになるとは思えないけど、せなけいこさんも子育て、がんばってたんだなあ、と。

2021年1月に訪れた松屋銀座での「せなけいこ展」。
ほかにもいろいろと思うところあったけど、いちばんの衝撃は

にんじん!

だから、わたしはこの絵本、わざとあざとく読みます。
大人のいやらしいシタゴコロスケスケで読みます。
子どもは簡単に見抜きます。
あざとすぎて、笑われます。

そもそも、にんじん好きな子、意外に多いです。

にしても、嫌いなものは、嫌いだよね。
自分の好きな人が好きだからといって、そんな簡単に好きにはならないよね。

今は、嫌いなものを無理やり食べさせるのは虐待だ、という考えもあるみたいですよね。

わたしは子どもの頃、嫌いなものが多かったです。
何をされても、嫌いなものは嫌いでした。
でも、大人になったら、好き嫌いはほとんどなくなりましたよ、それなりに。

そうは言っても、食べるということは、とても大切なことなので、子どもの育ちとして蔑ろにはできないし、子どもの身近にいる大人はけっこう真剣に丁寧に取り組むべき時期がありますよね。
大変だよね。




にんじん
(せなけいこ作絵 福音館書店 1969年11月)


せなけいこ展の図録など



インスタグラムでも『にんじん』ご紹介しています


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