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「子どもの考えを尊重する」とは具体的にどういうことかがわかる絵本『ありがとうのきもち』

ありがとうのきもち
(柴田愛子 文 長野ヒデ子 絵 ポプラ社 2002年12月)



引っ越すことになったあーちゃんが主人公です。
お別れする「あそび島」の友だちに「ありがとうカード」を作ってプレゼントすることにしました。

あーちゃんは、一人一人を思い浮かべて、ことばのカードをプレゼントします。

「まあるいこころ しょうちゃん あやな」
「ゆうだい ちゅるちゅる あやな」
「ことばの おもしろい しおり あやな」

なんとなくポジティブイメージの言葉が書いてあります。

なかよしのあきのカードには
なんと!
「あばれんぼう あき あやな」と書いてあります。

すると、あきは
「いらない! かえす!」と言います。
(そりゃそうかもねー)

あーちゃんは、泣きます。

あきは、
「あき だいすき」と書いてほしかった。

あそび島のあいこ先生が、あーちゃんにあきの気持ちを伝えます。

すると。

わたしはこの場面がすごく好きなのですが


(以下引用)
「だって これは
わたしが かんがえたことなんだから!」

きっぱりと あーちゃんは いいました。
(引用ここまで)




でも、あきは受け取らないんですね。
平行線です。

これはもしかしたら、「あばれんぼう」ということばの定義がそれぞれ違うのが原因なのかもしれません。
あーちゃんにとっての「あばれんぼう」は、あきの思う「あばれんぼう」とちょっと違うのかもしれません。

あーちゃんの引っ越しする日になります。
あーちゃんは、新しいカードをあきにプレゼントします。

そう。
あーちゃんは、「あばれんぼう」を違うことばに変えました。

気持ちをことばにするって難しいね。

あーちゃんの気持ちは、最初からきっとこうだった。
でも選んだことばがすれ違っちゃった。

そういうことはあるかもしれない。
だからと言って、周りの大人が、矯正することなく、強制することなく、待ってくれた。
あーちゃんが自分でことばを見つけるのを、あきが受け取るのを待ってくれた。

そこがすごくいいなあと思いました。

あいこ先生がやったことは、あきの気持ちを伝えること。
それだけ。
余計な促しとか強制をしていない。

あーちゃんは、自分で考えたことだからとキッパリと言えた。

これはつまり、そういう扱いを普段から受けている、ということなんだろうと思う。
尊重されるという実感をあーちゃんは持っていた。

子どもの考えを尊重する。
「〜させる」をしない。

そういう環境だった。
そういう日常だった。

相手を傷つけようとしているわけではない。
傷つけようとしてないくても、相手が傷ついていたら、それはいけないことなんだ。
確かにそういう場面もあると思う。

だから、これは、これまでの生活の積み重ねがあって、信頼があって、関係があって、成り立つことなんだろうな。

最初から、上手にできない。
こういう気持ちのやり取りを丁寧に見守ってくれる大人が近くにいることがどの子にとっても必要なんだと思う。
家庭以外にも。
学校以外にも。



循環するお庭で、シニアの皆さんと読みました。
シニアの皆さん、大絶賛されてました。

この絵本は、2010年12月、近くの小学校での家庭教育学級の講師として柴田愛子先生がいらしてくださったときに、購入した絵本。
3番目の子どもが2歳だった。

出会えてよかった人のお一人。

柴田愛子先生は、子育ての初期に出会った方がいい人。

ありがとうのきもち
(柴田愛子 文 長野ヒデ子 絵 ポプラ社 2002年12月)

インスタグラムでも『ありがとうのきもち』ご紹介しています



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