Blog ブログ

体験入学受付中

HOME // ブログ // たった一人の娘のために作った絵本を100年後のわたしも楽しめる『かしこいビル』

Blog ブログ

CATEGORY


おすすめ絵本

たった一人の娘のために作った絵本を100年後のわたしも楽しめる『かしこいビル』

かしこいビル
(さく ウィリアム・ニコルソン やく まつおかきょうこ よしだしんいち ペンギン社 2003年4月)
原題『CLEVER BILL』 1926年



作者のウィリアム・ニコルソンさんは、1872年、イギリス生まれ。
文絵ともに手がけたのは、2冊だけ。
そのうちの1冊がこちら。
娘メリーちゃんのために作った絵本。

この絵本は、1926年(大正15年)に出版されました。
100年近く前に生まれた絵本ですけど、ちっとも古くない。

ウィリアム・ニコルソンさんは、「絵本の作り方」を勉強して、セオリーを先達に学んで、この絵本を生み出したわけじゃないだろうと思います。
当時は絵本の創世記でしょうし。

そうじゃなくて、メリーちゃんがどうしたら喜んでくれるか、どうしたら面白がってくれるかを考えて考えて、結果、生み出されたのがこの絵本、なんでしょう。

メリーちゃんのために生み出された1冊の絵本が、
100後を生きるわたしたちをも魅了する。


この絵本の巻末にある
訳者の松岡享子さんと吉田新一さんの解説によると絵本に登場するおもちゃは、全てメリーちゃんの実際のものだそうです。

(以下引用)

絵本全体にあふれている親密な感じや暖かさ、くつろいだ伸びやかさは、
このように、父と幼い娘が、ふたりの知りつくしている世界で、
共に物語をたのしんでいることからきているのでしょう。

(引用ここまで)




それで? それで? どうなるの? とページをめくりたくなる。

かしこいビルは、近衛兵のおもちゃ、なのかな。
本来は、フワフワじゃなくて、カッチリしているんでしょうね。
ところが、この絵本の中では、クタクタ? ぐにゃぐにゃ? になるんです。


かしこいビルは、喋らないけど、すごく主張するんです。
おばさんからの手紙には「僕も当然、一緒に行きます」と言わんばかりに立っているし。
メリーに、結構、手荒な扱いをされてもめげないし。
メリーに忘れられて、水たまりができるほど、涙を流す。
けれど、諦めず、走って、メリーを追いかける。
手に持っているシンバルを打ち鳴らしながら、懸命に走るビルを、いつしか応援してしまう。

「がんばれー! ビルー!!」
「走れー! ビルー!」

最高なのは、裏表紙のビル!

ここはじっくり見てもらいたい。

かしこいビル
(さく ウィリアム・ニコルソン やく まつおかきょうこ よしだしんいち ペンギン社 2003年4月)

こちらはまだ読んだことがないです。

『おりこうなビル』
(ウィリアム・ニコルソン作・絵 つばきはらななこ訳 童話館出版)


インスタグラムでも『かしこいビル』ご紹介しています

ブログ一覧