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インサイド・ヘッドみたいな絵本『エンとケラとプン』

エンとケラとプン
(いわむらかずお あかね書房 1982年9月)


わたしは、2024年8月に児童文学作家の村中李衣さんの読み聞かせ講座に参加しました。
そのときのことはこちらに書きました。

村中李衣さんに読んでもらって初めて、この絵本を知りました。

アメリカのアニメ映画で「インサイド・ヘッド」というのがあるんですか。
わたしは観てないんですが、子どもたちは知ってる子が多いですね。2015年に公開されたそうですね。
2024年夏には「インサイド・ヘッド2」やってたみたいですね。

映画公開よりも、もっとずっと前、1982年に生まれたこの絵本。

「インサイド・ヘッドみたいな絵本」と村中李衣さんはご紹介くださいました。

インサイド・ヘッドよりも、もっと幼い子ども、そうだな、2歳くらいから? 出会ってもらえそうな絵本。

ひろくんの心の中に住んでいる、エンとケラとプン。

エンとケラとプンは、ひろくんの感情です。

感情は、3種類に絞ってあります。

読み進めると、子どもたちは自然と、ひろくんに起きる出来事とそこで生まれる感情を予想します。

例えば、ひろくんが転びます。

当然、エンがエーンエーンと泣くだろうと予想します。

ところが、ケラが笑います。
その理由が書いてあります。
クッキーが壊れなかったからだと。

当然、プンだろう、と思うと、ちゃんとプンが怒るときもあれば、きっと、エンが泣くだろうと予想すると、ケラが笑うときもあります。

やっぱりね! という気持ちと、
ええ? そっち? という意外性がちょうどいい具合で混ざり込みます。
自分だったら、どうだろう?
知らず知らずのうちに、ひろくんの心を想像します。
聞き手の心を動かしながら、物語は進みます。

ひろくんは男の子にごつんと打たれる場面では、子どもたちはハッとします。

エンとケラとプンも、ハッとしているようです。

どんなときでも、エンとケラとプンはひろくんの心の中にいます。
大きくなったり、小さくなったりしながら、ひろくんの感情をこの絵本では目に見える形にしてくれています。

心は目に見えない。

でもこの絵本は、見えるようにしてくれている。

心 という抽象的な概念を、具体的に視覚化してくれている。
しかも、幼い子どもも受け取れるように単純に。
わたしでも、自分の心を客観視できるように。

そこがすごいと思います。

「メタ認知」というんですか。

人からは、たいしたことないじゃん、と思われるような些細な感情も、自分にとっては、大切なもの。

自分にとって大切ならば、それはきっと、自分以外の誰かの感情も、その人にとっては大切なもの。

そんなことに想いをはせるきっかけとなる絵本がこの世に40年以上前から存在していることの尊さと驚き。

あの14ひきシリーズのいわむらかずおさんの作品。

そして、2024年9月現在、普通に買えるのも、失礼ながら驚き。

 

エンとケラとプン
(いわむらかずお あかね書房 1982年9月)

インスタグラムでも『エンとケラとプン』ご紹介しています




こちらも村中李衣さんに教えてもらった絵本

(おっぱいが好きそうな)保育園の乳児組さんとコール&レスポンス『チューチューこいぬ』

近くで見るより遠くから見た方がわかりやすい『どっとこどうぶつえん』

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2024年8月 敬愛する村中李衣さんと

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