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【報告】書店員に聞く 本と読者をつなぐフェアの試み 〜「米津玄師と文学」ができるまで〜

2024年3月にオンライン講演会「書店員に聞く 本と読者をつなぐフェアの試み 「米津玄師と文学」ができるまで」を主催しました。

講師は、紀伊國屋書店横浜店 店長 千葉拓氏。

きっかけについて
2024年12月に、シンポジウムのシンポジストとして、お声かけいただきました
シンポジウムのテーマは、「子ども読書活動推進」でした。

そのため、「子ども読書活動推進」について、すごく真剣に考えました。

「子ども読書活動推進」を考えたとき、読書に興味のない人にどうしたら興味を持ってもらえるか、そのためにはどうしたらいいか、どんな切り口があるのかという視点は欠かせないだろうなと思いました。




そんなとき、偶然、エックスで紀伊國屋書店横浜店で開催中の「米津玄師と文学」フェアを知りました。



かねてより、米津玄師さんの言葉には、他の人は使わない言い回し、独特の文学性を感じていました。

米津玄師さんの音楽は、メジャー。

米津玄師さんの音楽は、CMや映画やドラマの主題歌としても、多くの人が耳にしている。

そこに、(マイナーかもしれない)文学をかけ合わせる。

文学にあまり興味がない人も、米津玄師さんがどんな本を読んだのか、それが彼の音楽にどう影響しているのか、それは知りたい。

そこに目をつけた発想が素晴らしいと思いました。

「本が売れない」と耳にすることがあるけれど、このフェアでは、本が売れているようでした。
反響も大きいようでした。



これは「読書活動推進」ではないか!

フェア開催中には、どうしても都合がつかず行けなくて、残念に思っていました。

引き続き、エックスをチェックしていると、好評のため、期間を延長して、規模を縮小してフェアを継続するとの情報がありました。

そこで、実際に売り場を見に行くことができました。



規模が縮小されたとは言え、POPの熱量が高く、紹介された本をどれも読みたくなりました。

わたしは、宮澤賢治の詩集を購入しました。

わたしは、宮澤賢治の作品をどうしてもスラスラ読み進むことができなくて、苦手意識を持っています。けれども、POPをじっくり読むと、買わずにはいられなくなりました。



すごく感激して、レジのお姉さんに、いかに自分がこの「米津玄師フェア」に感激したか、をお伝えしました。

そうしたら、レジのお姉さんが「担当者を呼んできましょうか? 直接、伝えてもらったら喜ぶと思うので」と、ご担当者さんに連絡してくれました。

待っていると、なんと、現れたのは、店長さんでした。

店長さん!

店長さんが、このアツいフェアを展開していたのですね。

そこで、店長さんに、ちょこっとこのフェアのお話を伺うことができました。

そのときのことは、こちらに書いています。
米津玄師と文学 紀伊國屋書店横浜店の取り組みは「読書活動推進」だ

米津玄師がどんな本を読み、米津玄師のどの曲にどう影響しているのか、それらをどう調べたかなど、もっと詳しくお話をうかがいたいと思いました。

また、実際に売り場に行けなかった人にも、「米津玄師と文学」で紹介されていた本を読んでみたいと思ってもらえたらと思いました。

そして、このフェアの内側を教えていただくことで、わたしたちの今後の子どもに限らない読書活動推進に繋げたいとも思いました。

本と人をつなげる、それぞれの現場での活動や考え方のヒントを得られるのではないかと思いました。

そこで、ダメ元で店長さんにメールを差し上げました。
オンライン講演会でお話ししていただけないでしょうか、と。

ご快諾いただき、2025年3月にオンラインで講演会を開催しました。

 




千葉 拓(ひらく) 氏プロフィール

1972年神奈川県厚木市生まれ。
紀伊國屋書店仙台店、ららぽーと横浜店、横浜店などで勤務。
現・横浜店店長。
成功したフェアに「(紀伊國屋)史上最大の伊坂幸太郎フェア」「米津玄師と文学」などがある。






 

 

以下、リアルタイムでご参加いただいた方のご感想です。

■「書店員に聞く 本と読者をつなぐフェアの試み」
店長千葉様 大変興味深いお話をありがとうございました。
資料の画面とお顔を交互に拝見し、1時間以上釘付けになってしまいました。
予備知識もなく、とんちゃんの熱量が伝わり参加いたしました。
読んだ小説も今では題名の記憶のみ。読み返す機会を頂きました。
文字離れ、読書が遠のく、書籍が売れない。そんな事を耳にする現代への
素敵なアクションを実感いたしました。そして日本語の美しさにも共感です!
書店のポップ、これからは丁寧に拝読いたします。
関西在住ですが、機会がございましたらお店に伺いたいです。
にこにこ、とんちゃん!素敵な企画をありがとうございました。

キティちゃん

■「知らない人がつぶやいてるんだよ」とテレビCMが叫ぶ虚実ないまぜな情報があふれる世の中に、千葉さんの正確な出典を明記しようという努力に感心しました。インタビュー記事を何度も読み込み、ラジオ音源の文字起こしまでしてポップを書く。米津玄師愛強すぎある意味変態(もちろん良い意味で)
多少の感想や想像が混じってしまったとしても、千葉さんの真摯な思いが伝わったからこそ、バズった企画になったのでしょう。ちょっとでも怪しい情報が混じってたら、炎上しかねませんからね。情報源が確かだと感じた人が多かったのでしょう。うまくいったフェアもしっかり振り返って反省しているところもすごいです。

私が勤める図書館でも利用者は高齢者が多く若い人の活字離れは深刻です。職員は利用者を呼べる企画に頭を悩ませています。
マルチな才能を持つ米津玄師の生み出す物は彼の読書体験からできていると多くの人に知ってもらいたい。心揺さぶる言葉は活字に触れることで生まれるものだとみんなが認識できると良い。
とんちゃんが最後の方で「これ、全国でやると良いのに」と言った時「うんうん」と思った私でした。
膨大な熱量で語ってくださった千葉さん、企画してくれたとんちゃん、どうもありがとうございました。

うめちゃん




こちらは録画視聴してくださった方のご感想です。


■米津玄師さんが好きで、彼がこれほどの書籍を読み込み解釈お化けになっていったその訳を、文学という面で鮮やかな解析度で浮かび上がらせる千葉さんに感銘を受けました。

King of オタでもありながら(失礼、賛辞です)、書店員さんとしての立場で、POPに紹介を収め、本棚という世界をつくりあげる、ある意味、書店員さんたちはクリエイターだなと感じました。千葉さんの姿を通じ、書店員さんたちの仕事の素晴らしさを学ぶことができました。

文学性、音楽性、絵画にもマルチな才能を発揮する米津玄師さんの血肉となった作家や芸術家たちを、紀伊国屋書店の書棚に面出ししてPOPをつける。よほど文芸オタでもない限り、この作家のこの作品にまでは手を出さないかも、という埋もれた名作に光をあてる。井伏鱒二の『山椒魚』実はあっけないほど早く読めちゃいますよ、とか、すごくマイナーなものをメジャーに押し上げる、この気配に米津玄師ファンの一人としてデジャヴを感じます。

また、千葉さんが数ある米津玄師さんの曲の中からどの作品を取り上げるかから悩んだのではないか、曲を選び、歌詞を選び、文芸作品を選び、とことん図書館を横断して新聞の縮小記事をドキドキしながら探したり、引用しているという著者を手掛かりに言葉を探し出す作業をしたり、人の言葉を正確に伝えるためにいわゆるレファレンスしぬく。その上で、書店にはこの著者のどの書籍をおくのがいいか。どの本なら手に取ってもらえるか、あわよくばポケットマネーで買って電車でも読んでもらえるか、棚に入れてもらえるかなど、熟慮して選書する。

あの書籍のリストだけでも、いくらでも語れちゃいますし、書庫の香りもしてきます。

また、Xで米津玄師ファンと双方コミュニケーションする。
惜しみなく情報をだす。
売れた冊数まで、なんなら開示する。
ランキングというわくわくを提供する。
ここにもいつも期待以上のものを、たとえば『Lemon』のあとの『Flamingo』くらいに、あーこの人は売れる売れないってよりも、引き上げて連れていってくれる世界観をもって。惜しげもなく私たちに様々を提供し、生きてきて良かったを提供する米津玄師さんを、共に愛し熱く生きてきた男の気配がする。

ほんとうにかっこいいと思いました。

米津玄師さん、近代文芸のオタでありながら、不甲斐なくもこれを偉大な誰かがこれで読書推進している姿に学んでいるだけの自分の力量不足が不甲斐ないながら、しっかりと千葉店長さんの真摯な行動に学び、鼓舞されながら、読書推進を楽しみたいと思います。

これを掬い上げて発信しているとんちゃんに感謝してます。

本の楽しさを伝える陣列の末席につく自分でありたいと感じた講座でした。ありがとうございました。
もう何度か観ます!

むっこちゃん



■米津玄師と文学 の録画を拝見させていただきました。
とても素晴らしかった。
私は書店でバイトをするようになって、ポップやフェアが充実しているとお客様が手に取ったり買ってくださるのを、少しですが実感していて、こんなフェアだったらそれは凄いだろうとお話が聞けるのを楽しみにしていました。

目の付けどろころの凄さ、地道な資料集めと考察、想いの強さ、そういったものがあったから人の心を打つのだと思いました。
ご自身の失敗談もちゃんと説明してくださったのもとても良かったです。
ポップの書き方にいつも悩んでいましたが、それは、自分の中で作品としっかり向き合っていなかったからと言うこともわかり、勉強不足を改めて実感しました。
いつか、自分のフェアでお客様が喜んでくださる姿見て見たいと夢も出来ました。

紀伊国屋書店横浜支店の店長さんの素晴らしさ、未熟者の本屋のバイトのおばちゃんの心にも
火が付きました。
何かまたやってみたいです。
地方に居るので、こういうお話がまた聞けたら嬉しいです。

りすくん

■先日は面白い企画をしてくださってありがとうございました。
熱い想いをこめつつも落ち着いたお話ぶり、店長さんにすっかり感心しました。
音楽を聞いているだけで、次々該当する文学が閃いてくるのは、店長さん自身が日頃からいかに文学に親しんでいらっしゃるか、心の中に文学のストックが沢山あるのでしょう。
それをひけらかすことなく当たり前のことのようにお話される店長さん、凄いです。
ポップ作成にも、まず原典を読み込む、どこを切り取れば読者に一番伝わるか、そこで抜かない。
そういう店長さんの本気度が米津玄師ファンに伝わったのでしょう。
SNSで書店と読者双方がつぶやきながら成長していく、ステキですね。
読書推進もまずは作品を読み込み、伝える対象となる相手をよく知るという地道な努力が一番の近道になるのかもしれませんね。
学びの多い時間となりました。

Eさん

 

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