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小学校読み聞かせ 絵本の選び方

選書の挑戦とヒント 高学年への読み聞かせボランティア(小学5年生)

読み聞かせボランティアとして
約16年、お邪魔している小学校があります。

5年生のクラスに絵本を読みに行ってきました。

よく
「高学年にどんな絵本を読んだらいいのかわからない」
というご質問をいただくので
先日、わたしが5年生に読んだ絵本を
参考になるかわからないけれど、ご紹介します。

実況中継風にご紹介します。
いただいている時間は10分です。



読んだのはこちらの2冊です。

どちらも買いにくい絵本になっているようです。

目次

5年生にどんなふうに絵本を読んだか

机を寄せて、床にキュッと体育座りでした。

読むと8分くらいかかるので、迷ったのですが、彼らなら聞いてくれるかもしれないと挑戦した絵本。
民話の絵本を最初に読みました。

読み始める前に聞いてみました。

「道了尊(どうりょうさん)って行ったことある?」

知ってる子も、行ったことある子も、行ったことない子も。

「道了尊になにがいるか知ってる人いますか?」

「天狗!」「天狗!」「天狗!」

「お。よく知ってるね」

市内に天狗伝説のあるお寺(最乗寺)があります。

天狗が登場するこちらの民話。

『こぶとりじい』
(宮川ひろ ぶん 箕田源二郎 え ほるぷ出版 松谷みよ子・吉沢和夫 監修 1985年6月 品切れ・重版未定)

わたしは、この民話絵本が大の大の大好きです。

読むチャンスを虎視眈々と狙ってました。

こんなふうに読み始めます。

(以下引用)

 むかし むかし。
 ある ところに、きこりの じいが
おった。
 じいの みぎの ほっぺたには、
にぎりこぶしほども ある こぶが
あってな。
 がっつんこ がっつんこと 木を
きるたびに、ぷりん ぷりんと
うっとおしげに ゆれるだったと。
(引用ここまで)

「あってな。」という語りかけ。
「がっつんこ がっつんこ」
「ぷりん ぷりん」という擬音語。
こんな調子、たまりません。

帰ろうとすると雷雨となり、じいは雨宿りをします。
居眠りしてしまいます。
暗闇の中、目を覚まし、耳をすませると
こんな音が聞こえます。

(以下引用)
とれれ とれれ
とひゃら とひゃら
  すととん すととん
(引用ここまで)

この太鼓の擬音語も好き。
小さい声で読みます。
子どもたちも 耳をすましている気配。

バサッ バサッと天狗たちがやってきて、酒盛りをして歌い踊ります。

(以下引用)
はあ、てぐすれ きぐすれ
はっぱっぱ
てれつく すととん
すっとんとん
(引用ここまで)


確かに、こんな天狗の像が地元のお寺にもあったような気がします。
鼻の突き出た天狗、カッパみたいな天狗。

もちろん、このお話の舞台は、どこかわかりません。
でも、ここらへんかもしれない。
そう思うと一気に民話との距離が縮まる気がします。

イマドキの絵本ではないので、馴染みのない言葉も、想像できないことも、体験していないこともあるかもしれません。

だとしても、この民話の日本語の美しさ、楽しさ、リズム、逆に目新しさを5年生とご一緒できて、うれしい。

意地悪でもない、欲深でもない、ただ怖がりだっただけの隣のじいの受けた不条理に考えさせられるのも、よき。
だって、こぶひとつのじいだったのに、こぶふたつのじいにされちゃうんだからね。

人は人、自分は自分、なのかなあ。

5年生、読み終わると拍手してくれました。

「もう、時間ですよね?」と担任の先生に聞きますと
「あと2分あります」とのこと。

そっか、やはり。

あと2冊、短い絵本を持ってきていました。
どちらがいいかなあ。
聞いてみました。

「短い絵本、2冊持ってきたんだけど、どちらがいいですか?」
「長い方にして」と男子。
「じゃ、多数決で。こっちがいい人? こっちがいい人?」

僅差でこちらとなりました。

「いや〜。まさかのこっち、かあ。」(←持ってきておきながら、覚悟を決めてなかった)

「じゃ、勇気を出して、読むよ」

リズム
(え まさごひであき ミキハウス 1990年11月)

「みんなはもう田植えした?」
「した!」

こちらの小学校の5年生は、近所の農家のご好意により、毎年、田植えと稲刈りの体験をします。

それを知っていたので、候補として持ってきたのでした。

「このリズムは、アフリカの生活の中で伝えられてきたリズムなんだそうです。」

農作業のリズム。
踊り読むべし。

(以下引用)
ゴド パティッパ
ゴド パティッパ
(以下引用)

「これは田植えの踊りだよ。
どんなふうに、田植えをした?」

みんなにも声に出して読んでもらいました。
田植えの手つきをやってくれる子も。

(以下引用)
グンゴドッパ グゴドパ
グンゴドッパ グゴドパ
(引用ここまで)

「これは、稲刈りの踊り。
稲刈りはどんな感じ?」

繰り返します。


(以下引用)
ゴドゴ パッグ
ゴドゴ パッグ
(引用ここまで)

「これは、ほら、お米の周りに食べられない殻みたいなのがついてるじゃん。あれをとる作業ね」
「脱穀だ」
「そう、よく知ってるね」

最後は、収穫の喜びの踊り。

みんなが声に出してくれたので、よかったです。
立ち上がって踊る子はいなかったので、わたしも
いつもよりおとなしめに手元だけの踊りにしました。
(いつもは汗だくで踊り読む)

2冊読んで、ちょうど10分。

「ありがとうございました。」


高学年ならではの絵本を選ぶ日も

高学年だろうと低学年だろうと、それほど選書を変える必要はないと思います。
それぞれの年齢なりに、その絵本を楽しむでしょう。

ただ、今回は、高学年ならではの選書をしました。
わたしにとって、読み時間が8分の絵本は挑戦です。
朝の8分の集中は、努力を要する子がいるかもしれない。
しかも、馴染みのない言葉や昔の話だとなおさら。
だけど、挑戦したいと思いました。

彼らが1年生の頃から、年に1回、たった10分くらいだけど、読み聞かせの時間を重ねてきた。
上級生としての自覚も芽生えてきた。
自分たちが住んでいる街のことも知ってることが増えてきた。
だから、チャレンジしてみました。
もっと、子どもたちを信じて、決して押しつけではなく、読みたい絵本を読んでみてもいいのかなと自信を得ました。

また、彼らが今頃、どんな学習をしているかを踏まえての選書でした。
「田植え」という貴重な体験学習をしているだろうことを予測していました。

我が子が在籍していると、情報が入ってくるけれど、卒業してしまったので、なかなか体験と選書をリンクさせることが難しくなっています。

現役の保護者の皆さんは、学校だよりの情報から、選書のヒントをもらってもいいかもしれませんよね。


ちなみに、持参したもう1冊はこちらの絵本です。
一生懸命、真面目にコツコツがんばっている大人の皆さんにも、激しくおすすめ『たぷの里』
がんばってる彼らに、「ゆるっと時間」をどうかなあと思って。




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