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小学3年生男子の母に読んでもらいたい 『がんばれヘンリーくん』

最近、本を読みながら、声を上げて笑ってしまったことありますか?
わたしはあります。この本で。
読んだことあるのに、読むといつも笑ってしまいます。


がんばれヘンリーくん』ゆかいなヘンリーくんシリーズ1
(クリアリー 作 松岡享子 訳 ダーリング 絵 学研 1969年12月)



カバーのそでにこんなふうに書いてあります。

(以下引用)
ヘンリーくんは小学三年生。
どこにでもいるごくふつうの男の子です。
ある日、町角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスにのせて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。
それいらい、ヘンリーくんのまわりには、次つぎにゆかいな事件が起こります。
アメリカの現代っ子の生活を生き生きと描いた楽しい物語。
(引用ここまで)





いやいやいやいやいやいやいやいや。

どこにでもいるごくふつうの男の子、ではない。
2025年の今、読むと。

こんな子が我が子だったらと思うと、正直、げっそりします。笑い事じゃないです。
よその子だったら、おもしろがれるかもしれない。

なんというか、この物語に登場する子どもも大人も「健全」「すこやか」だと感じました。

小学3年生の男の子が、ノミだらけの痩せた犬を、袋に隠し入れてバスに乗り込んできて、その犬がバスの中で暴れ出し、乗客の荷物が散乱し、倒れる人たちがいたら。もし、あなたがそのバスに乗っていたら。

どうしますか?



(以下引用)
「ぼく、ひとにめいわくをかけるつもりは、すこしもなかったんです。おかあさんが、バスに乗せてうちまでつれて帰ったら、犬飼ってもいいっていったんです。」と、ヘンリーはいいました。
 あのふとったおじさんが、フフフとわらいだしました。それから、クックックッとわらいました。それから、ヒッヒッヒッとわらい、それからウァッハッハッハッとわらいました。わらってわらって、なみだが出るまでわらいました。ほかの人たちも、みんなわらいだしました。ホースのおじさんや、リンゴのおばさんまでわらっていました。
(引用ここまで)




子どもが何かしでかしたとき、こんなふうに笑えるって、「すこやか」な精神がないとできないことなんじゃないかなって感じました。
誰かに抑圧されていたり、我慢し続けていたり、不満だらけだったら、こんなとき、笑えない気がします。

もしも、同じことが、2025年8月の日本で起きたら、大人は笑えるだろうか?

「迷惑をかけるつもり」の子どもなんかいないと思います。
迷惑をかけようとしているわけじゃない。
でも、上手にできないこともある。
スムーズに進まないときもある。
子どもだけじゃなくて、大人だって、そう。

そういうときに、笑顔でフォローしあえたら、いいのになーって思いました。

今読むと、もはや、ファンタジー。

この本では、ヘンリーくんが、次々に騒動を巻き起こします。ヘンリーくんは、騒動を起こそうと思っているわけではないです、当然ながら。

いやはや。

子育て中に、我が子とこの本をゲラゲラ笑いながら読んでいたわたしは内心、(うちの子ってなんておとなしくていい子なんだろ)って、なでおろしてました。

ピンポンダッシュ、BB弾発砲、学校の窓ガラスを割るなどなど、学校からいろんな呼び出しがありましたが、ヘンリーくんに比べたら、まだマシか。

ヘンリーくんみたいな小学3年生が、どこにでもいるふつうの子でいられる社会っていいな。

作者のクリアリーさんは、図書館員として働いていましたが、子どもの本について不満を持つようになったそうです。
それは、ふつうの子どもたちのことを描いた愉快な物語が少ないということだったそうです。
それで、現実の子どもたちの生活をありのままに描いた物語の必要を痛感して、この本を書いたそうです。
この本がデビュー作。1950年。
子どもたちに引っ張りだこで読まれたそうです。

彼らが「自分たちのことが書いてある!」と喜んだのだとしたら、2025年を生きる今の子どもたちがどんな物語だったら、
「自分たちのことが書いてある!」と喜ぶんだろう?


インスタでもご紹介しました↓




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