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もしも友だちの宝物を傷つけてしまったら『かおるのたからもの』

かおるのたからもの
(征矢清 大社玲子 絵 あかね書房 1972年4月) 



杉田くんから借りた本に、弟が落書きをしてしまい、困ったかおるが主人公。

どうして、借りた本を机の上に出しっぱなしにしちゃったんだろう。
どうして、机の下にクレヨンが落ちていたんだろう。
そもそも、どうしてそんなに大事な本を、貸してくれちゃったんだろう。

あとから考えてもどうにもならない。
元には戻らない。

買って返せばいいというものでもない。
しかも、買えない本。
探して、なんとか手に入れて、それを返せばいいというものでもない。

どうして、それが、かおるには分からないんだろう。
わたしは、ちょっとイラッとした。
わたしには、わかったよ。

亡くなったお母さんが関係しているはず。

どうして、杉田くんがその本を大事にしていたかは、物語の最後に、杉田くんからの手紙で明かされる。

わたしは、自分の絵本を、誰かに貸すことが、できない。
すごくお世話になっている人や信頼している人に頼まれたら、貸すけど、できれば断りたい。

だって、その絵本は世界に1冊だけの「わたしの絵本」だから。

その絵本とともに子どもたちと過ごしてきた時間が詰まっている、わたしだけの絵本だから。

だからもし、わたしの読み聞かせ会に参加してくれた赤ちゃんが、破ったりしちゃうのは、オッケーです。
それも一つの、絵本との記憶だから。

でも、貸した先で、わたしが知らないところで、破られるのは、いや。
ましてや、クレヨンで落書きされたら、いや。

杉田くんの場合は、杉田くんのためにその本を買いに行っている途中で交通事故でお母さんが亡くなった。

その本、だもの。

杉田くんは、その本をお母さんみたいに思ってた。

代わりの本は、ない。
買って返せばいい、はずがない。

杉田くんは、貸しちゃ、ダメだった。

かおるは、「大事な本」の大事さを、想像できなかった。
軽く考えていた。

友だちを傷つけた。

周りの友だちの無神経な言動でさらにお互いを傷つけた。

ない方がいいことだけど、起き得るかもしれない。
タイトルや表紙の絵からは想像できないシビアなテーマだと思う。


久しぶりに読み返して気づいたのだけど、この本に、鉛筆でふりがなを振ってある。

そう言えば、長女が年長さんくらいの頃、一人でどんどんどんどん、家にある本を読んじゃう時期がありました。
「読めない!」と怒ってました。
漢字が使われているんですね。
ふりがなは全部には振ってない。
だから、自分で振ったんだと思います。

この本も読んだんだなあ。
何を思ったのかなあ。


2025年の今もふつうに買えるのが嬉しい。



インスタグラムでも喋りました






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