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強くなりたい男の物語を求める時期にぜひ『アーサー王のひひひひひまご』 

アーサー王のひひひひひまご
(作:ケネス・クレーグル 訳:津森優子 
瑞雲舎 2019年10月)


強くなりたい男。
勝ちたい男。
挑みたい男。

思い返せば、そんな絵本を読みたがる時期がありました。
強くなりたい男の物語を欲している時期。
長男が5、6歳の頃だったかな。

例えば、
ちからたろう』(ぶん=いまえよしとも え=たしませいぞう ポプラ社 1977年)
『ぼんやり山のぼんたろう』(清水崑 ぶん・え 学研 1972年11月)
『ももたろう』(松井直 文 赤羽末吉 画 福音館書店 1965年2月)  
『八郎』(斎藤隆介作 滝平二郎画 福音館書店 1967年11月)など。

本人も、長い棒を振り回して、バスタオルをマントにして、戦いごっこをしたり、弓矢を作ったり、仮面ライダーや戦隊モノに熱中したり。

小学校に上がると、争いはよくないこと、喧嘩はよくないこと、みんな仲良くしましょう、といつの間にか刷り込まれているように感じます。
そのせいなのか、強くなりたい男の物語を欲する気持ちが落ち着いてくる、(ゼロになるわけではない)そんなことがあったような気がします。

この絵本には、戦いを挑む男が登場します。
6歳です。
アーサー王の ひひひひひまごのヘンリーです。

わたしは、読む前に子どもたちに聞きます。

「みんなにはおじいちゃんやおばあちゃんはいる?」
「おじいちゃんやおばあちゃんからみたら、みんなは 何?」
「孫〜!」
「じゃあ、おじいちゃん、おばあちゃんのお父さん、お母さんからみたら、みんなは 何?」
「ひ孫〜〜!」

ここまでのやり取りをしてから、
「じゃあ、この絵本を読みます」とタイトルを言うと、それだけで笑います。

「ひひひひひ孫」の面白さ。

小学生に読むと、一部に、(あーあー、やれやれ、大丈夫?)みたいな一歩引いて冷静な見守るような空気を感じます。
(もう、戦いを挑む年齢は過ぎてますよ、僕たち)みたいな。

ヘンリーの剣と帽子は、お誕生日プレゼントだったのですね。

ロバのナックルにまたがり、冒険の旅に出かけます。

そのヘンリーのちっちゃいこと。ちっちゃいこと。
ヘンリーがちっちゃく描かれているからこそ、健気。

次々と、怪獣たちに戦いを挑みますが、相手になりません。

ヘンリーが戦いを挑むときの言葉は、大きな字で書いてあるので、腹の底から野太い声で、挑むように読みます。

これは、最初に読んでくれた人の真似をしてます。

ヘンリーの本気と、相手のズレに、子どもたちから笑いが起きます。

結局、ヘンリーは当初の目論見は叶わなかったけれど、最後に思いがけないものを見つけます。

このオチが素敵。

わたしは、瑞雲舎の代表取締役 井上みほ子さんに何度か読んでもらって、迷っていたけど、やっぱり買おうと決めました。
子どもたちに読んでみて、買ってよかったと思いました。
シニアの皆さんに読んでも、障害者支援施設で読んでも喜ばれました。

読む前にちゃんと練習が必要です。
ヘンリーは、ちょっと古めかしい言い回しをするのですよね。
なんてったって、
「われは アーサー王の ひひひひひまごの ゆうしゃなり」だから。
「いざ、たたかおうぞ」とか。
この気張ってる感じが良いのですよ。

あと「キュクロプス」が言いにくい。

「グリフィン」「リバイアサン」が登場すると、小学生たちが訳知り顔に見合わせたりするのだけど、なんでだろう?

同じ名前の何か別のお話を知っているのかな?
→『ハリー・ポッター』に出てくるらしいです。読み返してみます。

作者の絵本デビュー作だそうです。
原題は「King Arthur’s Very Great Grandson」

「great-great-great-great-great-great-great-grandson」を
「ひひひひひまご」と訳したのかあ。
「偉大な-偉大な-偉大な-偉大な-偉大な-偉大な-偉大な」じゃなくてね。

絵本を翻訳するって偉大なお仕事ですね。

インスタグラムでも喋りました






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