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抽象的な概念を具体的に落とし込まれた絵本なのかも『なにをたべてきたの?』

なにをたべてきたの?
(岸田衿子 文 長野博一 絵 佼成出版社 1978年5月)


主人公は、空腹の「しろぶた」くん。
起承転結のはっきりしたストーリーです。
お腹が空いて、くだもの食べて、石鹸食べて、お腹の中から出ていって、ちょっと大きくなって終わり。
シンプルなストーリーだけど、深いなあ。

このぶたくんは、白である必要があります。
なぜなら、食べたものが体に反映されるから。

食べたものが可視化されるとしたら、何を食べたら、綺麗になるか。

この賢いしろぶたくんは、空腹を満たすだけでなく、美しさを追求し、この色の果物をこの順番で意識的に食べたのかもしれません。

食べるもので自分ができているとしたら、何を食べるか。
それは実際の食べ物だけでなく、誰かの言葉、耳にいれる音楽、見る絵、表情、映像、自然、人、いろんなものから、自分ができている。

ふとしたことで、ちょっと目的がズレたことで、欲を出したことで、それらが、ふわ〜〜〜〜〜っと外に出ていってしまうハプニングもあるかもしれない。
失敗もあるかもしれない。

出ると入る。
入ると出る。

そして、少しずつ成長していく。
周りには変化に気づいてくれる仲間がいる。

そんな抽象的な概念を、具体的に落とし込まれた絵本なのかもしれません。
(わたしの勝手な解釈↑)

子どもたちは、そんなの関係なく、単純に面白がってくれます。

何を食べてきたか、思い出して、
「りんごとー、レモンとー、メロンとー、ぶどう!」と教えてくれます。

石鹸を食べようとするぶたくんを「食べちゃだめーーー!」と必死で止めます。

うちの長男が4歳か5歳くらいの頃、「食べる前に『こんなにあまい』ってわかるんだ!」とツッコミを入れてました。

繰り返し繰り返し読んだ1冊です。

クローズアップと引きの場面が交互に登場するのもリズムが生まれていいなあ。


他のは、ちぢれっけのぶた、ぶちのぶた、ぴんくのぶた、なのに
「はんぷしゃーくん」だけ、名前の次元が違うのが、おもしろい。

数年前の、上野の森ブックフェスタで、佼成出版社のテントに寄らせてもらったら、このマスキングテープをもらいました。
可愛い!


なにをたべてきたの?
(岸田衿子 文 長野博一 絵 佼成出版社 1978年5月)

インスタグラムでも『なにをたべてきたの?』ご紹介しています





目次

追記:天才か!「ねぇ、このぶたさんとこのぶたさんの名前だけわからない。」

いただいたメールを読んで、叫んでしまいまいた。

「天才か!」

ほんとだ、確かに。
全然、気づかなかった。
何度も読んでいるのに。

半年前、絵本セラピーに2歳10か月のお子さんと一緒に参加してくれたこうちゃんからのメールです。

承諾をいただきご紹介します。

(以下引用)

今日娘が
「この絵本お庭で読んでもらったよね。ママ読んで」
って言って本棚から持ってきたんです。

もちろんすぐに読み聞かせしたんですけど、娘が面白いことを言い出して。

ラストの"こんにちは みんな ぼく いつもと ちがうかしら?"のところでじーっと絵を見た後に

「ねぇ、このぶたさんとこのぶたさんの名前だけわからない。」
って2匹のぶたさんを指差して。

「しろぶたくんと、はんぷしゃーくんと、ちぢれっけのぶたくんと、ぶちのぶたくんと、ぴんくのぶたくんはちゃんと名前出てきたのに。」
って。

娘が指差していたのは赤いぶたさんと、全体が灰色? 黒? で口元と脚だけが白いぶたさんでした。

そこで私、初めて気付いたんです。

最初にりんごを食べる前にしろぶたくんに声をかけたこの2匹だけ、なんて種のぶたくんなのか言及されていないことに。

(引用ここまで)

3歳の子が、半年も前に読んでもらったことを覚えていることがまず、すごい。

いやそれにもまして、絵を見て、「このぶたさんとこのぶたさんの名前だけわからない。」と気付けることが、天才。

名前のわかるぶたさんは、全部諳んじることができるのも、すごい。

賢い子だなとは感じていたけれど。
まいりました。

そうか、最初に出会った2ひきのぶたさんには、挨拶することができないくらい、お腹が空いていたのかな。

何度も読んでいるのに、まったく気づきませんでした。

何も読んでいないのと同じかもしれない。
教えてくれてありがとう。



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