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おすすめ絵本 ワンポイントアドバイス 絵本の選び方

【ご質問】認知症+白内障の悪化で目もよく見えない母が楽しめそうな絵本

まりさんから、ご質問をいただきました。

ーーー
私には認知症で特別養護老人ホームに入所している母がいます。
とてもおしゃれで、感情の豊かな、そして好奇心旺盛で、ちょっと抜けたところのある、大好きな自慢の母でした。

1年ほど前から、私のことがわからなくなり、話もかみ合わなくなりました。
唯一、歌はよく覚えていて、YouTubeで音楽を流すと、童謡や昭和の流行歌などを楽しそうに歌ってくれました。
だけど、今年に入ってからは歌も歌わなくなり、面会に行っても、ほとんどウトウトしているような状態になってしまっています。

1ヵ月に1回15分しか許されていない母との面会時間を、何か母の心を動かせるようなことができないだろうかと考えた時、「絵本はどうだろう」と思いつきました。

前置きが長くなりましたが、もしよかったら、認知症+白内障の悪化で目もよく見えない母が楽しめそうな絵本って、何かアドバイスいただけませんでしょうか。

インスタライブを見ていて、「いないいないばあ」なんかも持っていってみようかなって思ったりしています。
 

ーーー
ご承諾をいただき、まりさんへのお返事をこちらに書かせていただこうと思います。

わたしも経験がないことなので、正直、正解はわからないのですが、
もしも、わたしの母親だったとしたら、と考えてみました。

1か月に1回15分の貴重な面会時間。

もしも、ウトウトしているようでも、耳は聞こえていると聞いたことがあります。

だとしたら、絵本の絵が見えづらくても、耳心地の良い絵本だったらどうだろうなあと思いました。

例えば、わらべうた絵本とか、オノマトペの絵本とか。

『いないいないばあ』(松谷みよ子文 瀬川康男絵 童心社)もいいかもしれませんよね。
赤ちゃんは信頼されていることがちゃんとわかっている『いないいないばあ』

ほかにも、このあたりの絵本を読みたいと思いました。

『ととけっこうよがあけた』(ましませつこ絵 こばやしえみこ案 こぐま社)

『あめぽったん』(ひろかわさえこ作絵 アリス館)

『えんやらりんごの木』(松谷みよ子文 遠藤てるよ絵 偕成社)

『もこもこもこ』(谷川俊太郎作 元永定正絵 文研出版)

『きゅうりさんととまとさんとたまごさん』(松谷みよ子作 ひらやえいぞう絵 童心社)

『いたいいたいはとんでいけ』(松谷みよ子作 佐野洋子絵 偕成社)

短い絵本を何度かゆっくり繰り返し耳元で読んでみる、というのはどうかなあと思いました。

 

もしかしたら、昔話もいいかもしれません。

『だいくとおにろく』(松居直作 赤羽末吉絵 福音館書店)

『ももたろう』(松居直文 赤羽末吉画 福音館書店)

『やまんばのにしき』(松谷みよ子作 瀬川康男絵 ポプラ社)

 

もし、母の好きな絵本や、子どもの頃、母に読んでもらった絵本がわかっていたら、その絵本を読んでみようかなあとも思いました。

わたしだったら、母が好きな絵本

『むぎばたけ』(アリソン・アトリー 文  矢川澄子 訳 片山健 絵 福音館書店)

を見えづらくても読んでみようかなあ。

 

母は熊本出身なので、熊本の方言に近いような絵本も読んでみようかなあ。

熊本ではないのだけれど、以前、母に

『しんやくんのマラカス』(石川 えりこ 作 福音館書店)の方言のイントネーションを教えてもらったことがあるので、

読んでみようかなあ。

母に絵本を読んでもらいました「しんやくんのマラカス」

 

母に何かしてあげたい、でも、してあげられることが見つけられない、だから絵本を読む。

そこに、何か効果的なことがわかりやすくあるとは言えないかもしれません。

でも、いい、と思いました。

そういう時間をもしも、母と持てるのであれば、いいと思いました。

こんな絵本はどうだろう?

この絵本だったら、喜んでくれるだろうか?

そう考えながら、母の耳元で絵本を読む、それがきっと、すごくいい時間になる気がしました。

絵本の言葉を、自分の声で、母の耳に、そしてもしかしたら 心に 届けることができるかもしれない、できないかもしれない。

お答えになっていないかもしれません。

わたし自身は、我が子以外の身内に絵本を読むというのが、ものすごく抵抗感があり、現時点で全くできません。

だから、想像することしかできません。

こんな絵本がおすすめですよ、というのをご存じでしたら、教えていただけませんか?

まりさんがお母様と少しでも穏やかな時間を過ごせますように。

 


↑1歳の頃のわたしと母

 

 

目次

いただいたお返事

ご質問をくださった まりさんからお返事をいただきました。

ーーーー

悲しい部分などひとつもなかったはずなのに
なぜか涙があふれてきて
普段めったに泣かないはずなのに
声を出して泣いてしまいました。

とんちゃんが、「絵本読み聞かせ講師」としてではなく、
娘・上甲知子として
自分ごととして、
自分のお母さんに読みたい絵本を考えてくださったことが
すごく嬉しかったのかもしれない

松谷みよ子さんの絵本をたくさん挙げてくださったことが
すごく嬉しかったのかもしれない

「昔話」
考えてもみなかったけど
もしかしたら、桃太郎とか、かちかち山とかなら
ストーリーを覚えていて一緒に声に出して読んでくれるかもしれない

そう思っただけで、
今すぐ母に会いに行きたくなってしまったのかもしれない

「母に読んでもらった絵本」
という言葉で
60年近く前のことが、
ほんの数年前のことのように
突然、思い出されたのかもしれない

「母が好きな絵本」
母は、どの絵本が好きだったんだろう

自分が好きな絵本ばかり読んでもらっていて
母が何を好きなのかなんて
考えたこともなかったことに気づいて
「ごめんね、お母さん」
という気持ちが、襲ってきたのかもしれない

「母の故郷の方言で書かれた絵本」
信州の言葉で書かれた絵本を
たぶん私は知らないなぁ
と気づいたことが悲しかったのかもしれない

職場でとんちゃんのブログを読んだのですが、
すぐにでも、家に帰りたくなりました

心の中で、たくさんおしゃべりしながら
母の耳元で読む絵本を探したい

きっと素敵な時間になる

母はきっと絵本を静かに見つめてくれる

そんなことを思っての
久しぶりの号泣だったのかもしれません。


ーーーー

信州の絵本、と聞いてわたしがパッと思いついたのは

『てんりゅう』 (しろたのぼる 文 きたじましんぺい 絵 岩崎書店)

今は買えない絵本になっているみたいですが、大好きな絵本です。


メールマガジンの読者様からいただいたお手紙をご紹介します

まりさんからのご質問に、メールマガジンの読者様からたくさんのお返事をいただきました。
わたしのパソコンを経由して、あたたかな気持ちの往来が生まれているのがすごくうれしかったです。
まりさんだけでなく、今までのわたしと、これからのわたしと、そして皆さんにも分かち合えたらいいなあと思いました。

ご承諾をいただいた方について、一部抜粋してシェアしますね。

認知症の母と

昨日からこのメルマガを何度も読み返し、少しでも何か参考になればと思って書かせてもらっています。

私のお義母さんも認知症です。
目は良く見えているので、参考になるかどうかわかりませんが、私たちの様子をお話しますね。

病院に入院中で、時々絵本を持っていって読み合っています。
最初は私が読んでいたのですが、今ではお義母さんが読んでくれて、その時間を一緒に楽しんでいたす。

持っていく絵本はお義母さんが好きそうな、笑える絵本、例えば「まわるおすし」や「いっきょくいきまぁす」長谷川義史/作を持っていったらとっても喜んでいました。
色使いが綺麗な感じの絵本も喜んでくれます。

そして、私がどこかで読み聞かせさせてもらおうと思っている絵本を持っていくこともあります。
今までも、どんな絵本を持っていけばいいのか何度も迷いました。
そうしているうちに、ある日ふっきれて、私が一緒に楽しみたいと思う絵本を持って行くことにしました。
『おにぎり』(平山英三/ぶん 平山和子/え 福音館書店)
『かぜフーホッホ』三宮麻由子/ぶん 斉藤俊行/え 福音館書店)
などなど…。
おにぎりの具何入れようか?
風ってこんな音したっけ?
絵本から膨らむ話しであっという間の15分です。

病室にいっても、絵本を読まずに手のマッサージだけして帰ってくることもあります。

お母様と絵本を読み合う時間が、楽しい時間でありますように、お祈りしています。

傾聴ボランティアとして

面会が1ヶ月に1回15分とは
切ないです

コロナ禍の前に施設訪問で
傾聴ボランティアをしていました。1ヶ月に一度、30分から1時間ほどです
声を掛けても会話は難しい人もみえました。それでも何かの拍子に顔をあげて少しだけ声を出してくださる方もみえました。

回想法という昔の思い出や懐かしい物や写真を見ながら、過去の話をしてもらう方法があります
(傾聴ボランティアではこの方法を使わないので、やったことはないですが)

今までのお母さまの好きなこと、興味があったこと、思い出等に関係する絵本を読むのはいいのではないかと思いました。

そして
15分の間にたとえ反応が薄くても、何かしら残るんじゃないかと、わたしは考えています、って根拠も何もないのに無責任な発言か

でも子どもだって聞いてないと思っても耳だけで聞いている、
それと同じじゃないでしょうか

今のあまり反応のないお母さんを前にして、もしも心折れそうなことがあったとしたら
歌をうたっていたお母さんを思い出しながら、絵本を読んでみてはどうでしょう。

‥なんてことを人に言ってますが、わたしは義父が長期入院で認知症が進んだときに、短い話を読もうと病室に持って行ったまでは予定通りだったけど、読み始めたら看護師さんがチラッと部屋をのぞきに来たり、義父の好みも分からなく、自信がなくなり結局続きませんでした。


とんちゃんが
もし自分の母に読むとしたら
という返信を
ひとつひとつその通りだなと
思いながら読みました。

すぐに思い浮かんだ絵本は

昨日の
「認知症、白内障のお母さまと読む絵本」。

すぐに頭に浮かんだ一冊は『さくら』(長谷川摂子 文 矢間芳子 絵・構成 福音館書店)でした。

今年の春、おはなし会で私が紹介したのを聞いてご購入された方がいて。その方が、入院中のお義母さまに読まれたと、話を聞かせてくれたのを思い出しました。
言葉が出にくくなってたけど、冒頭の
「わたしは き。さくらの き」を一緒に声に出して読まれた、と教えてくれたのです。
桜の咲き始める様子、満開の様子、緑が生い茂る様子、葉を落としても存在感がある様子、それらは全て、日本で生活してる者にとっては瞼の裏に浮かぶ光景じゃないかと思うのです。
優しくも力強く、正確に綴られるこの絵本の言葉は、視力を頼らなくとも「絵本」として届けられると思います。そして必ずどこか1ページでも「絵本の絵」を見にこられると思います。

ブックスタートのボランティア講習の中で「お子さまにどう話しかけて良いかわからないママ達にとって、絵本は最適なツールです」という話がありました。え!?と思いましたが、絵本作家が綺麗な日本語、丁寧な言葉、最適なワードを盛り込んだ絵本は確かに「最適」だと感じるようになりました。こがようこさんの「語りかけ絵本」というシリーズもよく読み聞かせや紹介絵本にしています。
そういった「語りかける絵本」は、認知症を患う方と読む時も気にかけたい点だな、と思いました。

特別養護老人ホームで義母に読んだ絵本

私もとんちゃんに、教えて貰って特養で、義母に絵本を読ませて貰いました。

とてもいい時間を送ることが出来たと思っています。

『かあさんのおめん』(吉沢和夫 文 北島新平 絵 ほるぷ出版)も喜んでたし、『あずき』(荒井 真紀作 福音館書店)も好きでした。草花が好きな義母だったので甲斐さんの絵本も沢山もって行きました。
思い出しても本当に幸せな時間でした。

耳元でゆっくり~いいですよね~
きっと、聞こえていると思うし、優しい思いが届くと思います💕

久しぶりにあの頃の事思い出しました。
人生の中でも、貴重な義母との最後の時間でした。

耳が聞こえづらい母に読んだ絵本は

とんちゃん、なんか私の母にもつながるようなお話でしたね。びっくりです。
母も、このかたのお母様のように、おしゃれで、好奇心旺盛な、母でした。ただ母は、耳がかなり聞こえないです。
でも、ちょっと調子がいい時、ヨシタケシンスケさんの、『かみはこんなにくちゃくちゃだけど』(白泉社)、を、みせたら、自分で見ながら、私も傍で、声にして読みましたが、笑うページもありました。
病院の待合室でのことでした。
もう、病院に通うこともできないけど、小さくて手のひらに載せて読めたので、こういう読み方もあるんだなって思った一瞬でした。
私もまた、読んでみようかな。

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