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どちらかといえば「ふんが寄り」の人たちと『ふんがふんが』

ふんがふんが
(おおなり修司・文 丸山誠司・絵 絵本館 2022年10月)


この絵本には、基本的に「ふんが ふんが」という言葉しか出てきません。
よく、絵本に出てくる動物は、日本語を話すじゃないですか。なんの違和感もなく。

でも、この絵本に登場するゴリラは、ゴリラらしく「ふんが ふんが」しか言いません。
「ふんが ふんが」が最初から最後までずっと続く。
相手の状況とか、自分の感情とか、「ふんが」で察する必要に迫られるんです。
この「ふんが」はどういう意味だろう?
自然に考えてしまう。
『ふんがふんが』は、読み手の「読み」にもかかってきちゃう絵本なのかもしれません。

例えば、外国の人とジェスチャーや表情や状況から、言葉が通じなくても分かろうとするじゃないですか。

生まれてすぐの我が子と、言葉での意思の疎通は難しいですよね。
相手の「ふんがふんが」で、気持ちや感情を慮る。想像する。
わかってもらおうとするし、わかろうとする。
そういうことを自然にせざるを得ない状況になりますよね。
言葉ではないコミュニケーション。

保育園の乳児組さんで読んでみました。
0歳、1歳、2歳。
言葉でのやりとりはできるかもしれないけれど、どちらかといえば「ふんが寄り」。
彼らは、ものすごい喜んで聞いてくれました。

幼児組さんでも読んでみました。
3歳、4歳、5歳。
「ふんが ふんが」やっぱり、大喜びしてくれました。

いつも、わたしは言葉に頼り過ぎちゃっているのだなあ。



この絵本の出版社 絵本館の創業者である有川裕俊さんが、『想像力が自然に生まれる絵本』というブックレットにて、このようにお話しされています。

(以下引用)
絵本の文と絵本の絵にある微妙な余白、つまり省略や飛躍がある絵本です。
その余白が子どもには、ちょっとわかりにくそう、と思われるかもしれません。
ところが、この一見わかりにくそうな絵本の省略や飛躍、つまり「みえない部分」に橋をわたす作業、あるいはおぎなう作業を子どもは知らず知らずのうち自然にやるんですね。すると、子どもはなにかに気づく。
この「みえない部分」に橋をわたす作業、おぎなう作業が絵本のつくりだす想像力だと思います。
(引用ここまで)


こちらからも読めます。


この絵本で言えば、「ふんがふんが」しかない言葉。省略、ですよね。余白。
「ふんがふんが」の向こうにあるけど、パッとは見えない「気持ち」のようなもの。
そこに橋を渡して、わかろう、知りたい、と思うことを自然にしたくなっちゃう。
そういう絵本なのかなと思いました。


ふんがふんが
(おおなり修司・文 丸山誠司・絵 絵本館 2022年10月)


インスタグラムでも『ふんがふんが』ご紹介しています



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