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11月の朝、中学校に原付バイクで向かう。
上着を着ないで、白いワイシャツ一枚の男子生徒がちらほら。
中には半袖の子も。
寒くないのかな。

３年生のクラス。
40人が前から後ろまで教室にびっしり。

いただいている時間は8時10分から20分までの10分間。

「おはようございます。
今日で、3年生に絵本を読めるのは最後ということです。
きっとこの先、誰かに絵本を読んでもらうことはないかもしれないね。
季節をちょと先取りしてこちらの絵本を読みたいと思います」

『ぶたたぬききつねねこ』
（馬場のぼる　こぐま社　1978年12月）

３年生、どうかしら。
ノってくれるかしら。

「おひさま　まど　どあ」と読み始めます。

ページをめくらず、
「あ」
「あ」と待ってみます。

（ん？　なんだ？）という表情。
５文字の鳥とヒントを出したけど、答えが出なかった。

「じゃあ、めくるね」
「あほうどり」

しりとりなんだと了解してくれてからは、全部、答えてくれた。

「る」
「ルンバ！」

「こ」
「公務員！」
「終わっちゃう！」

「う」
「赤ちゃんの乗り物」とヒントを出したら「うばぐるま」を見事当てた子がいたなー。

「こ」
「鳥」とヒントを出しただけで「こうのとり」と正答した男子。どよめきが起きました。

「ま」
「まく」を当てた子は当たってびっくりしてた。



読み終わって、残り時間はあと3分。

「もう1冊読んでもいいですか？
わたしが中学３年生のとき、大好きだったの。
みんな知ってるかな」

『情熱の薔薇』
（歌詞　甲本ヒロト　絵　ダイスケ・ホンゴリアン　リットーミュージック　2022年12月10日）

時計を気にしながら
ゆっくり、そっと。
みんなも、情熱の薔薇を咲かせてほしいと願いながら。
10分ちょっと前に読み終わりました。

「寒い日が続きますから、風邪とかインフルエンザとかならないように、元気に残りの中学校生活をエンジョイしてくださいね」
と終わりにしました。




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欲を言えば、本当は、10分じゃなくて、１コマ欲しい。
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