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奇想天外な物語に小学6年生があっけに取られてツッコミしそびれる『しんぞうとひげ』

小学6年生のクラスの朝の読み聞かせで読みました。

「この中で、アフリカに行ったことがある人はいますか?」
みんな顔を見合わせています。
「いないかな。
アフリカにタンザニアっていう国があるのは知ってる?」
数人の生徒がうんうんと頷いてくれました。
「タンザニアに伝わるお話の絵本を読みたいと思います。
絵は、ティンガティンガアートと言って、6色のエナメルペンキで描かれています。
じゃあ、読みます」

しんぞうとひげ
(しまおかゆみこ 再話 モハメッド・チャリンダ 絵 ポプラ社 2015年4月)


表紙を見せたら、すかさず
「6色じゃないじゃん!」というツッコミが。
「そうよね。いろんな色があるよね」

こんなふうに始まります。
(以下引用)
むかし むかし、
あるところに、
しんぞうと ひげが おりました。

しんぞうも ひげも
びんぼうで、
いつも はらを すかせておりました。
(引用ここまで)

そう。
主人公は、心臓と髭、です。
心臓から手と足が生え、クッキリとした二重の下まつげ長めの目と分厚い唇の濃いめの顔、手足には白い爪もあります。
割とビジュアル、インパクト強めです。
しかも、貧乏。
しかも、空腹。

ツッコミどころ、満載です。
でも、あっけにとられている隙に、どんどん読み進めます。

心臓も髭も21日間、何も食べられません。
22日目に、二人(?)はバッタリ出会います。
心臓は、挨拶します。
髭は、心臓を食べようとします。
心臓は逃げ、髭は追いかけます。

心臓は、人間の男に体の中にかくまってもらいます。
髭も、人間の体の中まで追いかけようとします。
でも、人間に断られます。
そこで、どうするか。

ほー。
そういうオチ。
奇想天外とは言うけれど、ここまでの奇想天外の物語はなかなか出会い難いと思います。

元々は、言い伝えられてきた民話なのではないかなと思います。
言葉を耳から聞いたら、自分の頭の中にそれぞれの心臓と髭を想像しますよね。

でも、これは絵本だから、絵がある。
心臓と髭が主人公の絵を描いてください、と頼まれたとして、どんな絵を描きますか?
こんな絵を描けますか?
いやー。
この発想は、ないなあ。

しかも、声に出して読んだときに、日本語のリズムがいい。読みやすい。
読むとちょっと長めのお話なのですが、リズミカルにどんどん読めちゃいます。

子どもたちに人気があるのはこの場面。
(以下引用)
おなかが へった、はらへった。
おなかが へった、はらへった。

きのうも はらぺこ、きょうも はらぺこ

たべたい、たべたい、
たべたい、たべたい。

おなかが へった、はらへった。
おなかが へった、はらへった。
(引用ここまで)

ここを勝手に歌うように読みます。
つい、口ずさみたくなるフレーズ。

今、買いにくい絵本になっているようです。
Kindle版があります。

「タンザニア便り」で、上甲のブログをご紹介くださいました




ティンガティンガアートとは
(一般社団法人アフリカンアート支援機構のHPより以下引用)
東アフリカ・タンザニア生まれのポップアート。
創始者であるエドワード・サイディ・ティンガティンガ氏(1932-1972年)が道端で描き始めたことが由来となります。
当時、画材にはエナメルペンキと建材の板が使われており、タンザニアの動物や村の風景などを描いたその素朴で新しいスタイルは、欧米人に徐々に好まれていき東アフリカを代表するアートとなりました。
エドワードの死後も、彼が当時絵を売っていた同じ場所で弟子たちが志を受け継ぎ進化を続けており、今日も80名を超すアーティストたちの筆から様々なティンガティンガアートが生まれ続けています。
(引用ここまで)





インスタグラムでも『しんぞうとひげ』ご紹介しています



しんぞうとひげ
(しまおかゆみこ 再話 モハメッド・チャリンダ 絵 ポプラ社 2015年4月)




高学年に絵本を読むことについてこちらも参考にしてください↓

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