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研修 読み聞かせボランティア

「絵本のまち三島」中学3年生に20分で読んだ3冊はこちら

静岡県三島市のご担当者様が、お問い合わせフォームから、ご連絡をくださったのは、2024年1月のことでした。

三島市では、絵本の力を活用し、老若男女すべての市民にとってウェルビーイングの実現を目指す取り組みとして、令和6年度より「絵本のまち三島」という事業を行うそうなんです。

そこで、絵本と学校教育をつなぐために、各小中学校の司書さんを対象に絵本に関する研修会の講師をご依頼くださったのです。
この研修会は9月です。

打ち合わせをする中で、わたしは、「せっかくなので、実際に子どもたちに絵本を読んでいるところを見ていただくのはいかがでしょうか?」
「小学生にも読みたいのですが、できれば、中学生にも絵本を読ませていただけたら嬉しいのですが」と、お願いしてみました。

2024年7月に司書さん向けの研修会の日に、中学3年生へ読み聞かせの時間をいただくことになりました。

最初は、3年生4クラスを、ひとクラスずつ読ませてもらうというお話になったのですが、ひとクラス10分という短い時間になってしまうので、わがままを言って、教室よりちょっと広い音楽室で、2クラス一緒に20分ずつ、2回読ませてもらうことにしました。

初めて会う、三島市立北上中学校の3年生。




(画像の使用許可いただきました)

どんな子たちか、わからないから、絶対に間違いない絵本から始めたいと思いました。

こんなふうに始めました。

「初めまして。
わたしは、上甲と言います。
神奈川県から来ました。
今日、絵本を読ませてもらえること、とても楽しみにしてました。

皆さんは、最近、絵本を読んでもらったこと ありますか?
あんまり ない感じですか?
自分で読んだりも しない?
じゃあ、絵本を読んでもらうのは久しぶりかな?

皆さんに会うのは初めてで、どんな絵本が好きかわからないから、相談したいと思います。
二択で選んで欲しいんですけど。
直感で決めてください。
こっち と こっち どっちがいいですか?
手を上げてくださいね。
こっちがいい人?
こっちがいい人?
はい、じゃあ、こっち ですね。
いきます。

『しりとりあそび しろとくろ』(星川ひろ子・星川治雄 小学館)」

後からの2クラスの生徒たちにも同じように聞いたら、やっぱり『しろとくろ』の方が多かったので、
「あのね、前のクラスの子たちも『しろとくろ』だったのね。
実は、『ちゃいろ』の方が難易度高いのよ。『しろとくろ』でいい?」
と言うと、
「えー。じゃあ『ちゃいろ』がいい!」
という声が上がったので、もう一度手を挙げてもらったら、『ちゃいろ』になりました。

「なんだか、誘導したみたいで、ごめんね。じゃあ、いきます」
と『ちゃいろ』を読みました。

この絵本は、次のしりとりを当ててもらいながら、読み進めます。
時間も限られているので、どんどんヒントを出して、どんどん声を出して、当ててもらいます。
このヒントの出し方も、長年の経験により(笑)熟練されてきました(←自分で言う)
一番後ろで見学してくださっている司書さんも、つい、「しじみ!」
教育長さんも「ゲンゴロウ!」と声が出ちゃう。

中学3年生も、
「ロンリネス」「スイカ」「すごろく」「くまさん」「みかん」「ゲジゲジ」
など、ポンポン声を出して答えてくれて、笑いも起き、「あー(それねー)」という声も上がり、ものすごい盛り上がりました。
(今は、買いにくい絵本になっているようで残念です)

読み終わって、あと10分ありました。

「『ちゃいろ』読んで」と言われました。
「ごめんね、『ちゃいろ』はどこかで探して読んでください」と丁重にお断りし、
いそいそと
ひそひそと声をひそめて

「あのさ。次の絵本なんだけど。
ここだけの話、ちょっと エロい 絵本を読みたいんですよ。
いいかな?
大丈夫かな?
周りの大人には内緒ね。

(後ろを振り返る生徒あり)

読んでもいい?
ちっちゃい絵本なんだけど。
こやまくんどうさんという人が作った絵本です。
くまモンの生みの親」

中学3年生と読んだ 見た目とは裏腹に「存在の全肯定」をぶちかましてくる絵本『いのちのかぞえかた』


↑なぜか、笑いのツボに入ってしまったらしく、ずっと笑っている女子生徒がいました。
そういうお年頃よね〜。

この部分で
(以下引用)
彼女は生涯、5万人の人と出会い、
3000人の名前を覚えます。
そのうち名前と顔を一致させられるのは300人。
友達と呼べる人は30人。
そして親友は3人です。
(引用ここまで)

「3人か」という小さなつぶやきが聞こえました。
(以下引用)
悲しいことに、
最初につきあった彼と結婚できる確率は
(引用ここまで)

ここで、やっぱり、

「ゼロ!」という生徒が何人かいました。
(いるんだよ〜、最初につきあった彼と結婚する人)

読み終わって、あと3分ありました。

「『ちゃいろ』読んで」としつこくおねだりする中学3年男子生徒を華麗にかわし(笑)

「じゃあ、皆さんに問題です。
日本で一番売れている絵本はなんでしょう?」

「ぐりとぐら!」
「アンパンマン!」
「宮西達也!」
「おまえうまそうだな!」
「はらぺこあおむし!」

「あのね、ダントツに一番売れている絵本は、これ、なのよ」と
表紙を見せると
「ああああーーーーーー!!!」
と大きな声が上がりました。

知ってるのね。
ニコニコ笑顔の子がたくさん。

「じゃあ、読んでみますね。
なんで、この絵本が一番売れているか、考えながら聞いてください」

『いないいないばあ』(松谷みよ子 瀬川康男 童心社)


赤ちゃんは信頼されていることがちゃんとわかっている『いないいないばあ』

読んでいる最中も、笑い声が起きました。
「ばあ」と一緒に言ってくれる生徒も。

「なんで、この絵本が日本で一番売れていると思いますか?
わたしはそのことをずっと考えているんです。
みんなもぜひ、考えてみて欲しいなと思います。

ではこれで、ちょうど時間になったので終わりにしたいと思います。
ありがとうございました」

終わってから、一番前の端っこに座っていた生徒に、
「見えづらかったでしょ、ごめんね」と話しかけたら、
「全然、大丈夫です」とニコニコしながら答えてくれました。

中学3年生が絵本を楽しむ様子を、実際に見ていただいて本当に良かったと思いました。
子どもたちとの絵本のある時間を実際に見ていただくのが一番いいと思っていました。
学校司書さんをはじめ、お忙しい中、三島市の教育長さん、課長さん、市立図書館の館長さん、中学校の校長先生がたも絵本を一緒に楽しんでくださったように感じられて、ホッとしています。




読み聞かせのあと、司書さんの研修会が図書室で開催されました。



そこでわたしは、中学生に読んだ3冊の絵本の、裏話、選んだわけ、工夫していること、意図していることなどをお伝えしました。
また、リュックサックにごっそり持参していた、そのほかのおすすめ絵本について、ご紹介させていただきました。


 




中学校の校長先生が、なぜか色紙を用意されてて、サインを書いてくださいと言われたので、
生徒たちに読んだ3冊の絵本の書誌情報と(笑)一言ずつおすすめポイントを書いてお渡ししました。

ちなみに、なんでわたしに声かけてくれたのかなーと気になっていたので、聞いてみました。

埼玉県三郷町でのこちらの講演会で
宮西達也先生の前座をさせていただいたブログ記事を、課長さんが見つけて読んでくださったそうです。


(左 上甲 中央 宮西達也先生、右 アナウンサー松坂貴久子さん)

 

そのあと、このホームページも見てくださって、お声かけくださったそうです。
宮西先生、ありがたやー。
課長さん、見つけてくださってありがとうございます。

 

 




北上中学校のホームページにご紹介くださいました。



三島市福祉応援大使めんぼーくんは1年生に読み聞かせ。
めんぼーくんと初めて出会ったのは2014年11月のこのとき

 

 

9月には、講演会の前に、午前中、小学3年生3クラスに45分ずつ、絵本の授業をさせていただきます。
楽しみ。

 

 
追記
9月に北上中学校の校長先生が教えてくれたことです。
廊下などに本棚を置いて、好きな時に生徒が絵本や本を手に取れるようにされたそうです。
そこに『いのちのかぞえかた』を置いてくれたそうです。
そっと手に取って読んでいる生徒がいるそうです。
押しつけがましくない手渡し方がすごく嬉しいなあと思いました。

 

 

本当は、20分じゃなくて、1コマ欲しい。

中学生に絵本の授業をさせてください。
https://osekkainaobasan.com/2023/05/29/junior_high_school_ehon

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